4-3パウリ表現

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    パウリ表現
    今回は適度に手抜き。 最後まで読まないと誤解する可能性がありますよ。
     ディラック方程式に出てくる 4 つの未知係数を求める事が今回のテーマである。 条件は以下の通り。
            (1)         (2)
     今回の話に都合がいいように前回とは少し書き方を変えてある。 α i というのは ( β , α x , α y , α z ) の事である。 単純な数値ではこれらの条件を満たすものはありえず、行列を考えるなら条件を満たすものがあるだろうというところまでは前回話した。
     まず、どの係数行列も 2 乗したら単位行列になるということなので、その固有値は 1 か -1 のいずれかしかないと言える。 なぜなら、
    となるからである。 固有値が ±1 のいずれかでしかないような行列のうちで最もシンプルなものと言えば次のような対角行列である。 これを β としよう。
     まだ β が何次の行列になるのか今の段階では分からないし、 1 と -1 が何個ずつ入るべきかも分からない。
     解を探す範囲を狭めるために、もっと有用なヒントはないだろうか。 実はもう一つ、面白い性質が隠されているのである。 それは行列 α i の対角和(トレース)は必ず0になるということである。
     なぜこのことが成り立つかというと、次のような計算ができるからである。
     分かり易いように α と β を使ってみただけであり、 α と β は対等であることを再度強調しておく。 2 行目から 3 行目では積の対角和は積の順序を入れ替えても変化しないという性質を使った。 (分かっている人にはこの注意は要らないかと思うが、この性質は 3 つ以上の積の時には勝手にどれでも順序を入れ替えて良いわけではなく、 2 つの部分に分けてそれらを入れ替えるときにだけ成り立っているので気をつけること。)
     対角和が必ず 0 になるということは、固有値は必ず 1 と -1 とが同数なければならないことを意味する。 このことから、求めようとしている係数行列は「必ず偶数次でなければならない」ということも言えるのである。
     線形代数から遠のいている読者は、ここら辺りで幾つかの事が気になり始めて、先を読むどころではなくなっているかもしれない。 実は私がこの記事を書いている途中で気になった事なのだが、それを以下にメモしておこう。
     正則な行列(つまり逆行列を持つ行列のこと)U を使って
    という変換をしても α は β と同じ固有値を持つ。 (しかし固有ベクトルは変化する。) これを「相似変換」と呼ぶ。  今回はたまたま β をシンプルな対角行列として選ぶことにしたが、 β を元にして相似変換してやることで、同じ固有値を持つ行列がいくらでも作れるということである。
     固有値の和はトレース(対角和)に等しい。  これは対角行列でなくても成り立つ。  先ほど固有値は 1 と -1 が同数なければならないと話したが、それは β を単純な形に選んだことによって言えるのではなく、他の係数行列についても同じ事が言えるのである。
     ところで条件式 (2) に出てくる行列を全て同じ正則行列 U で相似変換してやっても元と同じ条件 (2) が成り立っている。 つまり、係数が一通りだけでも求まってしまえば、それらを任意の正則行列 U で相似変換したものも、同様にディラック方程式の係数として使えることになるわけだ。 こうして、解は一通りではないと言える。
     どの係数も対等である事から、求まったそれぞれ

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    パウリ表現
    今回は適度に手抜き。 最後まで読まないと誤解する可能性がありますよ。
     ディラック方程式に出てくる 4 つの未知係数を求める事が今回のテーマである。 条件は以下の通り。
            (1)         (2)
     今回の話に都合がいいように前回とは少し書き方を変えてある。 α i というのは ( β , α x , α y , α z ) の事である。 単純な数値ではこれらの条件を満たすものはありえず、行列を考えるなら条件を満たすものがあるだろうというところまでは前回話した。
     まず、どの係数行列も 2 乗したら単位行列になるということなので、その固有値は 1 か -1 のいずれかしかないと言える。 なぜなら、
    となるからである。 固有値が ±1 のいずれかでしかないような行列のうちで最もシンプルなものと言えば次のような対角行列である。 これを β としよう。
     まだ β が何次の行列になるのか今の段階では分からないし、 1 と -1 が何個ずつ入るべきかも分からない。
     解を探す範囲を狭めるために、もっと有用なヒントはないだろうか。 実はもう一つ、面白い性..

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