4-2ディラック方程式

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    ディラック方程式
    曲芸ディラックの技が冴える!
    ディラックの考え
     これまでの解説にも度々出て来ているディラックだが、彼はクライン・ゴルドン方程式の負の確率の問題について考えていた。
     そもそも、この式の左辺が時間の2階微分になっているのが問題である。 2階微分の方程式を解く時には二つの初期値、すなわち、初期の波動関数の値と、初期の波動関数の1階微分の値を自由に決めることが出来る。 これでは制限が無さ過ぎて、確率が負に変化するような解も容易に許されてしまうのは当然だろう。
     現実の粒子の振る舞いを正しく表す方程式は時間の1階微分の形式になっているに違いない。
     そうすれば、存在確率の時間微分が0だと一度決まってしまえば、その後の存在確率は変化しなくて済む。 シュレーディンガー方程式の場合に確率流密度を考えた時の考え方が復活できることになる。
     しかしそうすると相対論の問題にひっかかることになる。 相対論では時間と空間を同等に扱うことを要請している。 つまり、ローレンツ変換したときに形式が変化してしまうような法則は相対論にふさわしくないわけだ。  ところがシュレーディンガー方程式を見てもクライン・ゴルドン方程式を見ても空間座標については2階微分になっている。 それをそのまま使ったのでは、ローレンツ変換したときにどうしても式の形式が保てない。 座標の2階微分を変換すると時間の2階微分が表れてきてしまったり、空間微分や時間微分が入り混じったような、元には無い項が表れてきてしまうからだ。 (クライン・ゴルドン方程式では、うまい具合に微分のところがダランベルシャンで表せる形式になっているのでこういう問題は起きないで済んでいる。)
     正しい方程式は空間座標についても1階微分の形式になっていなければならないはずだ。
     ここまでのことをまとめれば、正しい方程式は次のような形式であるに違いない。
     ここで使った α、β はどんなものかはまだ分からない。 全くの未知数である。 これらをどうやって決めたらいいのだろう。
     彼はこう考えた。 この新しい式はクライン・ゴルドン方程式を満しているはずだ。 そうなるように未知の係数 α、β を決めてやればいい。 もともとクライン・ゴルドン方程式を生かすためにこのようなことを考えているわけで、それほど意外な展開というわけでもないだろう。
     そうと決まれば先ほどの式の係数を次のように少し訂正してしておくのが α、β がより簡単になっていい。 先見の明というやつだ。 理由はすぐ後で分かる。
     まだ α、β の正体がはっきりしていないが、今のうちに言っておこう。 これが「ディラック方程式」だ! これを格好つけて次のように表現してある教科書もある。
      の部分を運動量の演算子と同じだという意味で p と表現したのである。 よく見ると左辺もエネルギーの演算子と同じ形になっているだろう。 わざとそうしてあるのだ。
    係数の条件
     クライン・ゴルドン方程式をもう一度ここに書いておこう。
     この方程式を作った時の整理する前の形をそのまま書いてある。 その方がこれからの作業に都合がいい。
     先ほど仮定した新しい式の演算子部分のみを取り出すと
    であるが、この両辺を2乗した演算子を作ってやれば、左辺はクライン・ゴルドン方程式と同じになる。
     そして、この右辺が最終的にクラインゴルドン方程式の右辺と同じになればいいのである。 では右辺を展開してみよう。
     この時、α、β は時間や座標を含まない係数なので、微分演算子との位置

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    ディラック方程式
    曲芸ディラックの技が冴える!
    ディラックの考え
     これまでの解説にも度々出て来ているディラックだが、彼はクライン・ゴルドン方程式の負の確率の問題について考えていた。
     そもそも、この式の左辺が時間の2階微分になっているのが問題である。 2階微分の方程式を解く時には二つの初期値、すなわち、初期の波動関数の値と、初期の波動関数の1階微分の値を自由に決めることが出来る。 これでは制限が無さ過ぎて、確率が負に変化するような解も容易に許されてしまうのは当然だろう。
     現実の粒子の振る舞いを正しく表す方程式は時間の1階微分の形式になっているに違いない。
     そうすれば、存在確率の時間微分が0だと一度決まってしまえば、その後の存在確率は変化しなくて済む。 シュレーディンガー方程式の場合に確率流密度を考えた時の考え方が復活できることになる。
     しかしそうすると相対論の問題にひっかかることになる。 相対論では時間と空間を同等に扱うことを要請している。 つまり、ローレンツ変換したときに形式が変化してしまうような法則は相対論にふさわしくないわけだ。  ところがシュレーディンガー方程式..

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