2-9摂動論2

全体公開
ダウンロード pdfダウンロード
ページ数11
閲覧数933
ダウンロード数10
履歴確認

    ファイル内検索

    タグ

    資料紹介

    摂動論Ⅱ
    縮退がある場合の対処。
    問題点の確認
     前回の話の続きである。
     すでに求めた摂動論の公式の分母には異なる状態間でのエネルギー差が入っているために、同じエネルギーを持つ状態が複数ある場合には分母が0になってしまって破綻してしまうのだった。 こんなことはしょっちゅう起こる。 大問題だ。 何とかこれを回避しなくてはならない。
     教科書の中でこの話が難しいと感じている人は、ただ記号に振り回されているだけなので安心して欲しい。 なるべく記号を増やさないように気をつけながら説明してみよう。
     今回の話の中で状態ベクトルのことを「関数」あるいは「波動関数」と呼んでいるが、そこには目をつぶって頂きたい。 前回の話でベクトル表現と波動関数表現の同等性を説明したが、波動関数のイメージを持ちながらベクトル表現の便利さを利用しようとしているのでこうなっているのである。
     まず念のために基本的なところから注意しておこう。
     縮退があると公式が破綻してしまうとは言っているが、縮退がどこかに一箇所でもあると全ての計算が台無しになってしまうというわけではない。 問題になるのはあるエネルギー準位 が縮退していて、それに属する波動関数 の摂動を計算したい時だけである。 例えば波動関数の1次の摂動の公式は
    であったが、 を求める時に多数の の中に と同じものがあるときだけうまく行かないのだから、 自体が縮退していない場合には他のエネルギー準位に縮退があろうがなかろうが今まで通り全く問題なしに公式が使えるのである。
    教科書では縮退のない場合の例としていつも調和振動子が出てきて、しかもそれしか載っていないことが多いので、前回求めた公式は縮退をどこにも含まないような、こういう特殊な場合にしか使えないのだろうと勘違いしてしまうことがある。 まぁ、ちゃんと考えれば分かることではあるが、初心者の思い込みは恐いのである。
     もう一つの注意をしておこう。 1次の摂動エネルギーは
    という式で求められるのだったが、この公式には0になるような分母が含まれていない。 ということは縮退がある場合であっても変わらずに使うことができるということだろうか? いや、だめだ。 この式を導く時の計算を見直してみる必要がある。 その中で を含む項を消去している部分があったと思うが、暗に がしっかり定義できていることを前提としているのであった。 だからこの公式も使うべきではない。 全く初めから考え直す必要がある。
    問題の本質は何か
     ではまず、縮退があるときに式が破綻してしまう根本理由に迫ろう。
     幾つかの波動関数が に縮退していたとする。 例えば3つくらいを考えようか。 それを , , としよう。 本当は , , と書いた方がより正しいのだが、ごてごてと飾りを付け過ぎると他の記号と区別がつきにくくなるので敢えてこう表現しておく。 これらはそれぞれ、
    という関係を満たしているわけだが、これら3つの波動関数の線形結合で全く新しい波動関数
    を作っても同じ関係を満たす。
     関数 も固有値 に属する固有関数であると言えるわけだ。 この事は , , が全て に縮退しているからこそ言えるのである。 異なる固有値に属する固有関数を集めてきて線形結合を作ってもそれはほとんどの場合シュレーディンガー方程式の解ですらない。
     新しい関数 は係数 a, b, c を変えることで幾通りでも作れるが、独立な組み合わせは最大でも3つである。 それぞれが直交規格化の条件を満たすためには
    という関係が成り立ってさえい

    資料の原本内容( テキストデータ全体をみる )

    摂動論Ⅱ
    縮退がある場合の対処。
    問題点の確認
     前回の話の続きである。
     すでに求めた摂動論の公式の分母には異なる状態間でのエネルギー差が入っているために、同じエネルギーを持つ状態が複数ある場合には分母が0になってしまって破綻してしまうのだった。 こんなことはしょっちゅう起こる。 大問題だ。 何とかこれを回避しなくてはならない。
     教科書の中でこの話が難しいと感じている人は、ただ記号に振り回されているだけなので安心して欲しい。 なるべく記号を増やさないように気をつけながら説明してみよう。
     今回の話の中で状態ベクトルのことを「関数」あるいは「波動関数」と呼んでいるが、そこには目をつぶって頂きたい。 前回の話でベクトル表現と波動関数表現の同等性を説明したが、波動関数のイメージを持ちながらベクトル表現の便利さを利用しようとしているのでこうなっているのである。
     まず念のために基本的なところから注意しておこう。
     縮退があると公式が破綻してしまうとは言っているが、縮退がどこかに一箇所でもあると全ての計算が台無しになってしまうというわけではない。 問題になるのはあるエネルギー準位 ..

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。