2-8摂動論

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    摂動論
    まずは時間を含まない場合、縮退がない場合。
    摂動論を学ぶ理由
     摂動論は近似解を求めるテクニックの一つである。  正確に解ける問題があって、そこから設定がほんの少しだけずれた時に解がどのように変化するかということを導く技である。 人間の力で正確に解けるのはごくごく簡単な問題だけであるから、近似計算というのは重要である。
     なぜ「摂動」なんて漢訳が当てられたのかはよく分からないが英語では「掻き乱す」というような意味だ。 太陽の周りを回る惑星の楕円軌道は計算で正確に求められるが、実際には他の惑星からの重力の影響があるためにわずかなずれが生じている。 このわずかな撹乱が惑星の軌道にどのように影響するかを論じたものが摂動論であり、同じ考えを量子力学に応用したのである。
     しかし、単なるテクニックではなく、量子力学の思想に関わる重大な意味を持つ。 計算手法そのものが、自然を表現する考え方に強い影響を与えているのである。 いや、数学を通して自然を見ている以上は、これに限った話ではないのかも知れないが。
     これをベクトル表現で説明しようか、それとも波動関数表現で説明しようかと悩むところだ。 ベクトル表現はシンプルに書けるので視覚に訴えて分かりやすいし応用も利く。 一方、波動関数表現は具体的であって何をどう計算すべきかがよく分かるという利点がある。
     初学者にとってはそんな長所短所の違いを言われたところで、「はぁ」としか言いようがないだろう。 まだ自分で選べるほどの情報もなく、教えられるままに聞くしかない。 その末に結局一方しか説明されなかったら、もう一方の方法のことが気になって仕方がない。 両方やることにしよう。  これで読者は余計な心配から解放される。
     ここさえ乗り切れば、ベクトルだろうが波動関数だろうが、その弱点利点を知って使いこなせるようになるだろう。
    まずは問題設定
     あるよく知られた波動方程式があるとする。
     これは時間に依存しないシュレーディンガー方程式だ。 まずはこれを例にしよう。 もしここで
    と置けば、この式は
    のようにシンプルに書ける。  はエルミート演算子であって、演算子は行列としても表せることをすでに学んだ。 だから、この式と同じことを次のようなベクトル形式で表すこともできる。
     これらの方程式の解はよく知られていて完全に解けるものとする。 このことだけが重要な出発点であるから、 の具体的な形についてはもうこだわらないようにしよう。
     ところで、微分方程式の解は一つだけではなかった。 幾つもの解がある。 それぞれの解 を固有関数と呼び、それぞれに対応する数値 をエネルギー固有値と呼ぶのだった。 だから、先ほどの式はこう書いておくべきだろうか。
     あるいは
     ここで、この方程式の にわずかな項を追加したいと思ったとする。 「摂動を加える」なんて表現をすることがあるが、まぁ、少しの変更だから以前の解と大きくは変わるまい。 たとえ大きく変わってしまうとしても突然は変わらないだろうから、徐々に増やしていけばいい。 例えば原子に0から始めて徐々に強く電場を加えていくと電子の波動方程式にどんな変化があるだろうとか、そういう興味だ。
     新しく加えた項を「摂動部分」とか「摂動項」とか呼ぶ。 λ の部分が「徐々に」というニュアンスを表している。 λ を0から増やしていった時、その変化の影響はどのように現れるだろう?  それは次のように現れるだろうと仮定する。
     記号がいきなり増えて驚くかも知れないが、まずは落ち着こう。

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    摂動論
    まずは時間を含まない場合、縮退がない場合。
    摂動論を学ぶ理由
     摂動論は近似解を求めるテクニックの一つである。  正確に解ける問題があって、そこから設定がほんの少しだけずれた時に解がどのように変化するかということを導く技である。 人間の力で正確に解けるのはごくごく簡単な問題だけであるから、近似計算というのは重要である。
     なぜ「摂動」なんて漢訳が当てられたのかはよく分からないが英語では「掻き乱す」というような意味だ。 太陽の周りを回る惑星の楕円軌道は計算で正確に求められるが、実際には他の惑星からの重力の影響があるためにわずかなずれが生じている。 このわずかな撹乱が惑星の軌道にどのように影響するかを論じたものが摂動論であり、同じ考えを量子力学に応用したのである。
     しかし、単なるテクニックではなく、量子力学の思想に関わる重大な意味を持つ。 計算手法そのものが、自然を表現する考え方に強い影響を与えているのである。 いや、数学を通して自然を見ている以上は、これに限った話ではないのかも知れないが。
     これをベクトル表現で説明しようか、それとも波動関数表現で説明しようかと悩むところ..

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