2-3ユニタリ変換

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    ユニタリ変換
    古い教科書に「ウニタリ」と書いてあって、 何か未知の学問かと思った。
    抽象化への道
     ここまでの話で、波動関数を使った計算とベクトルを使った計算との間にかなりの対応関係があるという雰囲気が分かってもらえただろうと思う。
     しかし、ある状態をベクトルで表すために、関数系を選んできて展開しなくてはならないという部分がどうにも頼りない。 わざわざベクトルを使った理論に移行しようとしているのだから、ベクトルの範囲だけで完結するような体系を構築したいものである。 それは波動関数による足場を外して少々抽象的な世界へ飛び込むことを意味しているわけだが、量子力学の本質が何であるかを見極めるにはちょうどいいだろう。
     手始めに関数系を使うのをやめることから始めるとしよう。
    ベクトルだけの理論体系
     ある状態 を表すのに、どんなものでもいいから完全規格直交系 を選んできて波動関数 を展開してやり、そうして得られる無限個の係数を縦一列に並べたものが関数の代わりに使えるのであった。
     ところでこの展開に使った関数系に属する関数の一つ一つも量子力学的に取り得る状態の一つを表している。 自分自身との内積を取ったものは1になるという性質もあり、これらは規格化された波動関数そのものだと考えられるではないか。 これらも同じ関数系で展開してベクトルで表すことが可能である。 実際にはひどく単純な話であって、  例えば、 を で展開してやった係数の組は、
    となるだろうし、 は
    と表せる単位ベクトルになるというだけの話だ。
     これらをそれぞれ縦一列に並べたものを , などと書いて表すことにしよう。 これら無限個の単位ベクトルの組を「基底ベクトル」と呼ぶ。  すると先ほどの状態ベクトル は、このような基底ベクトルの線形和として次のように表せることになるであろう。
     これでようやく普通の教科書にあるような表現に近付いた。 私の説明が何だか簡単に理解できるというので、どこかごまかしがあるんじゃないかと疑っている人はここらで安心してもらってもいい頃ではないだろうか。
     とにかくこれで関数による足場をそっと外したことになる。  しかしまだまだ話はこれからだ。 足場を払ったからには、ぐるぐる回して上も下も分からないようにしてやるので覚悟して欲しい。 どちらが上か下かなんてのは本質ではないということを悟らねばならない。
    基底ベクトルの回転
     あらゆる状態ベクトルは、無限個の直行する基底ベクトルの組とその係数で表せることを理解したはずである。 その時に出てくる係数は展開するのにどんな関数系を選んだかによって違ってくるものであり、絶対的な意味を持つ値ではない。 つまり、ある状態ベクトルを表すのに、どんな基底ベクトルの組を選んだかという違いが現れているに過ぎないのである。
     どんな基底ベクトルの組を選ぼうとも本質的な違いはない。 それぞれが直交しており、長さもみな同じ1であるという点で変わりなく、ただそれぞれに向きが少々違うだけなのである。 つまり、抽象的なベクトル空間の中で少しの回転をほどこしてやれば、ある基底ベクトルの組は別の基底ベクトルの組に一致させられるわけだ。
     ここでちょっと線形代数の知識を思い出すことにしよう。 互いに直交するベクトルの組は、ベクトル空間の中で原点を中心に回転させたり、原点を含む面に対称に鏡像変換したりしても直交系であることには変わりがない。 そういう変換を「直交変換」と呼ぶのであった。 ベクトルの変換は行列で表すことができるが、この直交変換の

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    ユニタリ変換
    古い教科書に「ウニタリ」と書いてあって、 何か未知の学問かと思った。
    抽象化への道
     ここまでの話で、波動関数を使った計算とベクトルを使った計算との間にかなりの対応関係があるという雰囲気が分かってもらえただろうと思う。
     しかし、ある状態をベクトルで表すために、関数系を選んできて展開しなくてはならないという部分がどうにも頼りない。 わざわざベクトルを使った理論に移行しようとしているのだから、ベクトルの範囲だけで完結するような体系を構築したいものである。 それは波動関数による足場を外して少々抽象的な世界へ飛び込むことを意味しているわけだが、量子力学の本質が何であるかを見極めるにはちょうどいいだろう。
     手始めに関数系を使うのをやめることから始めるとしよう。
    ベクトルだけの理論体系
     ある状態 を表すのに、どんなものでもいいから完全規格直交系 を選んできて波動関数 を展開してやり、そうして得られる無限個の係数を縦一列に並べたものが関数の代わりに使えるのであった。
     ところでこの展開に使った関数系に属する関数の一つ一つも量子力学的に取り得る状態の一つを表している。 自分自..

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