1-5期待値

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    期待値
    ミクロの世界と我々の日常をつなぐ大切な概念
    期待値と平均値
     サイコロを振った時に出る目の期待値は「3.5」である・・・というのは高校で習ったかも知れない。 しかしサイコロを1回振っただけではこの数字の意味は実感できないだろう。 1から6までのどの数字が出るかはその時次第であって、 3.5 とはまるで関係ない。
     しかし、何回振ってもいいから出た目の平均値×1000円をあげようと言われたら、少なくとも3500円は期待できる。 繰り返すほどこの数字に近付くからだ。
     平均値というのは多数回起こった事象や、多数のサンプルを全て同等のものとして足し合わせ、最後にその回数あるいはサンプル数で割ることで得られる。 これは同等な権利を持つ者がある値について投票して多数決をしている状況に似ていて、同じ値が多いほど、結果はその値に近付くことになる。 出た値に出た回数分だけの重みを加味して足し合わせたものだと捉えることが出来るのである。
     しかしサンプルを得る機会が一回きりの場合はどうだろう。 ギャンブル、勝負事、ゲーム、戦略・・・。 確率というのは、結果を得るチャンスが一回きりの場合に良く使われる考え方だ。 もしサンプルを得る機会が多数あればそれぞれの結果の値は確率で考えたのと同じ割合で得られることになるだろう。 しかしチャンスが一回しかない場合には仕方がないので、結果の値とそれが出る確率の重みを加味して足し合わせることを考える。 確率というのは全体で1になるので最後に全体で割ってやる必要はない。 これが「期待値」である。  「一回きりの平均値」という奇妙な値だ。 同じ条件で多数回繰り返せば平均値と同じ意味になる。
    粒子の位置の期待値
     量子力学では確率を使う。 粒子の位置を測定すると、それは確率で決まる。 粒子の本当の位置なんてものはない。 ただ多数回、同じ条件で測定して平均を取ったらどの辺りになるだろうという推論だけはできる。
     粒子が x に見出される確率密度は と計算できるので、これに x を掛けて積分してやれば粒子の位置の期待値が計算できる。 期待値は <x> のようにカッコで挟んで表すことが多い。
     2行目で x をわざわざ と の間に挟む形に変形してあるが、こんな書き方をする利点は今のところ全くない。 むしろ1行目のように計算するのが普通である。 このように変形しておく理由はすぐ後で説明するが、本当の便利さは第2部で物理量を行列で表すことを学ぶときに理解できるだろう。
    運動量の期待値
     次回で不確定性原理を説明するつもりなので、その準備としてぜひ運動量の期待値を定義しておきたい。 そのためにまず速度の期待値 <v> を求めることにする。 そしてそれに粒子の質量 m を掛けたものが運動量の期待値 <p> であると定義しよう。
     粒子の速度を測るには時間を置いて2回の位置測定をし、その位置の差を測定にかかった時間間隔で割る必要がある。 しかし量子力学が適用されるミクロの領域では位置は測定するたびに確率的にばらつくので、そのような方法で粒子の速度を決定することには意味がない。  そこで速度の期待値 <v> は <x> を時間で微分したものであると考えて求めることにしよう。 粒子の見出される位置に平均的な移動傾向があるならば、その速度を速度の期待値だと見なそうというのである。
     果たしてこれに質量 m を掛けた量は本当に運動量の期待値として相応しい値になるのだろうか? 運動量なら一度の測定で求めることが出来るが、多数の測定をしたときの

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    期待値
    ミクロの世界と我々の日常をつなぐ大切な概念
    期待値と平均値
     サイコロを振った時に出る目の期待値は「3.5」である・・・というのは高校で習ったかも知れない。 しかしサイコロを1回振っただけではこの数字の意味は実感できないだろう。 1から6までのどの数字が出るかはその時次第であって、 3.5 とはまるで関係ない。
     しかし、何回振ってもいいから出た目の平均値×1000円をあげようと言われたら、少なくとも3500円は期待できる。 繰り返すほどこの数字に近付くからだ。
     平均値というのは多数回起こった事象や、多数のサンプルを全て同等のものとして足し合わせ、最後にその回数あるいはサンプル数で割ることで得られる。 これは同等な権利を持つ者がある値について投票して多数決をしている状況に似ていて、同じ値が多いほど、結果はその値に近付くことになる。 出た値に出た回数分だけの重みを加味して足し合わせたものだと捉えることが出来るのである。
     しかしサンプルを得る機会が一回きりの場合はどうだろう。 ギャンブル、勝負事、ゲーム、戦略・・・。 確率というのは、結果を得るチャンスが一回きりの場合に良..

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