4-1シュバルツシルト解

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    シュバルツシルト解
    方程式があれば解いてみたくなる。
    条件を絞って解く
     アインシュタイン方程式を解くのは非常に難しい。 見た目は簡単だが、式を展開すると項の数が恐ろしく多いのだった。 しかし諦めるわけにはいかない。 条件を絞ってでも何とか解けそうな形へ持って行くことは、全く解けないままでいつまでも式を眺めているよりははるかにましである。
     例えば、重力源となる質量分布が時間的に変化せず、また運動もしておらず、球対称である場合を考えてみたらどうだろう。 ここまで限定すれば何とかなるかもしれない。 そのようにして解かれた解を「シュバルツシルト解」と呼ぶ。 幸いにして宇宙にある巨大な天体というのは球形に凝集する傾向があり、このような厳しい条件をつけても現実への応用が効く場面が多いのである。
     アインシュタイン方程式の発表が 1915 年末のことであり、シュバルツシルトによってその初めの解が発表されたのは 1916 年のことであった。 彼は当時 42 歳。 第1次大戦従軍中だった。 そしてその年の5月には病気で亡くなっている。 天才は自分の置かれた状況について言い訳知らずか。
     ところで、シュバルツシルト解の他にはどんな解が見つかっているだろうか。 厳密解は数えるほどしかない。 自転を取り入れた「カー解」や、自転し電荷を持つブラックホールを表す「カー・ニューマン解」が有名である。 その他にも宇宙全体の挙動を表す解なども幾つか見付かっているが、いずれも今の私が手を出せるようなものではない。
    座標系の準備
     アインシュタイン方程式を解くということはすなわち、 10 個の gij がそれぞれどんな値になるかを求めることである。 今は時間的変化はないと考えているので、gij は場所のみの関数である。 そして、
    なのだから、全ての gij を知るということは、 ds² がどういう形で表せるかを知る事に他ならない。
     今は空間の性質が球対称だという設定だから、 ds² の形式は原点からの距離 r のみによって変化する形であるに違いない。 また時間的に変化することはないとする。 また、原点から十分離れたところでは平らなミンコフスキー時空が実現しているものだとする。 そのような ds² はどんな形式で書き表したらいいのだろうか。 まずは次のような形式を考えてみよう。
     ミンコフスキー時空というのは球対称どころか全時空で何も変わらない全く均質な状態である。 それに r のみの関数 A(r) を掛けて作ったこの ds² は r のみに依存していると言えるだろうという理屈である。 r が大きくなるところで A (r) → 1 となるならば、原点から離れたところでの時空が平らになっているという条件も満たすことができる。
     時間はともかく空間的には球対称であるから、極座標を使う方が見通しがよくなるであろう。 そこで、
    を使って座標変換してやろう。 全微分、
    を作って代入してやれば、次の形式を得る。 複雑な項が次々と消えてゆくこの計算はなかなかの快感だ。
     ここで気が付くのは、第 1 項目と第 2 項目はそれぞれ単独でも球対称であるということだ。 ということは A (r) とは別の関数を使って、
    と表してやっても全体としては球対称であることに変わりないと言えることになる。 これが球対称時空の一般的な形であり、最初に仮定した形よりも広く対応できるのである。 ただし r が大きくなるところで B(r) → 1、C(r) → 1 となるべしという条件は相変わらず必

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    シュバルツシルト解
    方程式があれば解いてみたくなる。
    条件を絞って解く
     アインシュタイン方程式を解くのは非常に難しい。 見た目は簡単だが、式を展開すると項の数が恐ろしく多いのだった。 しかし諦めるわけにはいかない。 条件を絞ってでも何とか解けそうな形へ持って行くことは、全く解けないままでいつまでも式を眺めているよりははるかにましである。
     例えば、重力源となる質量分布が時間的に変化せず、また運動もしておらず、球対称である場合を考えてみたらどうだろう。 ここまで限定すれば何とかなるかもしれない。 そのようにして解かれた解を「シュバルツシルト解」と呼ぶ。 幸いにして宇宙にある巨大な天体というのは球形に凝集する傾向があり、このような厳しい条件をつけても現実への応用が効く場面が多いのである。
     アインシュタイン方程式の発表が 1915 年末のことであり、シュバルツシルトによってその初めの解が発表されたのは 1916 年のことであった。 彼は当時 42 歳。 第1次大戦従軍中だった。 そしてその年の5月には病気で亡くなっている。 天才は自分の置かれた状況について言い訳知らずか。
     ところ..

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