2-6質量は2種類ある

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    質量は2種類ある
    二つの概念の奇妙な一致。
    2通りの質量
     「質量」には二通りの定義が存在する。 一つは「慣性質量」、もう一つは「重力質量」と呼ばれている。
     「重力質量」というのは物体が重力によって引かれる力の強さを基にして定義される質量である。 簡単に言えば、物を持ち上げるときに感じる「重さ」のことである。 しかし物体の重さは他の星へ行くと重力の違いによって変わってしまうので、「重さ」という表現は学問的には問題がある。 だから敢えて「質量」と呼ぶのである、ということは中学で習ったはずだ。 
     もう一つの「慣性質量」とは、物体を押した時の加速度を基に定義される質量である。 質量が大きいほど加速がつきにくい。 日常でも車の加速が悪いときなどに「車体が重い」などという表現を使うだろう。
     これらは物理的には全く意味の異なる別々の概念であるが、偶然にも全く同じ値を持っている。 いやもっと正確に言うと次のようになる。 「どの物体について調べてもこの二つの意味の質量が全く同じ比を持っているので、この比が1になるように単位を決めた。」 わざわざ人為的にそうしたというよりは、さかのぼって考えるに、ニュートンが運動の法則をまとめた時に知らず知らずのうちにそう決まったと言える。 それで中学、高校のレベルではあまり区別しないでひとまとめに「質量」と呼んできたのである。
    同時に落ちる理由
     重力によって落下運動する質量 M の物体の運動方程式は次のように書かれる。
    M ( d2x/dt2 ) = M g
     左辺と右辺で同じ記号 M を使っているが、左辺が「慣性質量」を表しており、右辺が「重力質量」を表している。  この二つの M がどんな状況にあろうとも全く同じ値を取るので、この方程式の解はいつだって
    d2x/dt2 = g
    である。 真空中でどんな質量の物体を落としても全く同じ加速度で落下するのは、この二つの意味の質量が同じ値を持つからである。 慣性質量が大きくて加速しにくいものは強い重力で引かれ、慣性質量が小さく加速しやすいものは弱い重力でしか引かれないので、結局両者は同じ加速度で落下するという理屈になっている。
     厳密に言えば、質量のバカでかい物体を落とせばその分地球も物体に引かれて近付いてくるので、別々に実験すれば質量の大きい物体の方が早く地面に落ちるのではないかという議論もあり、確かにそうなのだが、今回はそういう物理パズルのネタに使われるような話題は関係ない。
     あ、そうそう、パズルと言えば、結構な数の人が誤解しているのだが、空気抵抗のある状況で重い物体と軽い物体を同時に落とすと、たとえ同じ形や大きさをしていたとしても、重い物体の方が先に落ちるので騙されないように注意しよう。 下は全く同じ空気摩擦力 F が働く時の重い物体 M と軽い物体 m の運動方程式である。
    M ( d2x/dt2 ) = M g - F m ( d2x/dt2 ) = m g - F
     これを解いてやれば、それぞれの解は次のようになる。
    d2x/dt2 = g - F/M d2x/dt2 = g - F/m
     さあ、どっちの加速度が大きいだろう?
    どこまでも同じ値
     話題を元に戻そう。 もし、慣性質量と重力質量にずれがあったとしたらどんなことが起きるだろうか?
     秤を多数用意してエレベータに乗る。 まずエレベータが止まっている状況で、色々な物質をそれぞれ同じ質量だけ取って秤に載せると皆同じ数値を示す。 当たり前だ。 これは重力質量が皆同じだという意味である。

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    質量は2種類ある
    二つの概念の奇妙な一致。
    2通りの質量
     「質量」には二通りの定義が存在する。 一つは「慣性質量」、もう一つは「重力質量」と呼ばれている。
     「重力質量」というのは物体が重力によって引かれる力の強さを基にして定義される質量である。 簡単に言えば、物を持ち上げるときに感じる「重さ」のことである。 しかし物体の重さは他の星へ行くと重力の違いによって変わってしまうので、「重さ」という表現は学問的には問題がある。 だから敢えて「質量」と呼ぶのである、ということは中学で習ったはずだ。 
     もう一つの「慣性質量」とは、物体を押した時の加速度を基に定義される質量である。 質量が大きいほど加速がつきにくい。 日常でも車の加速が悪いときなどに「車体が重い」などという表現を使うだろう。
     これらは物理的には全く意味の異なる別々の概念であるが、偶然にも全く同じ値を持っている。 いやもっと正確に言うと次のようになる。 「どの物体について調べてもこの二つの意味の質量が全く同じ比を持っているので、この比が1になるように単位を決めた。」 わざわざ人為的にそうしたというよりは、さかのぼって考え..

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