1-11増大する質量

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    増大する質量
    それは誤解を招く表現だ。
    質量は増えるか
     4元運動量のところで話した「新しい運動量」の定義をもう一度見てもらいたい。
     ニュートン力学での運動量の定義は「質量×速度」であった。 その考えを当てはめて比較してみると、「運動する物体の質量は γ 倍に増えているのだ」と解釈すれば、この運動量の定義を大した違和感も無く受け入れることが出来そうである。
     ところで、これまでに次のような解説を聞いたことはないだろうか?
     「物体が光の速さに近づくと、加速に使ったエネルギーはその物体の質量を増加させるのに使われてしまう。 よって、物体を光の速さにまで加速させることは永遠にできない。」
     「光の速度に近づくと物体の質量はどんどん増えるので、いくら力を加えても重すぎて加速できなくなってしまう。 物体を光速にするには無限の力が必要である。」
     果たしてこのような解説はどこまで正しいだろうか?
    方向によって違う質量
     このような「質量の増加」を説く人に対して不利な証拠を突き付けよう。 ニュートン力学では、運動量の変化率が力を表していた。
     同じように、この新しい運動量の定義を時間で微分してやることで力を計算してみよう。 ここで気を付けなくてはならないのは、γ の中にも速度が含まれているということである。 高校の微分の知識で十分計算出来る。
     これはちょうどうまい具合に、力と加速度の関係式になっている。 これをニュートンの運動方程式 F = m a と比べてみれば、 γ3 m の部分が質量を表していることになる。 つまり運動している物体は、質量が γ3 倍になったかのように振舞うのであって、先ほど考えたような γ 倍ではないのである。
     しかも、それだけではない。 今の計算では速度をただのスカラーとして計算したが、丁寧にベクトルとして計算してやると進行方向によって質量が異なることが分かる。 この計算は慣れないと少々困惑するかも知れないが、難しすぎるという事はないだろう。
     ここで、加速度ベクトルと速度ベクトルが直交している場合には第2項は0になる。 つまり進行方向に垂直に力を加えた場合には、質量が元の γ 倍になったかのように振舞うことが分かる。
     このように方向によって質量が異なるので、これらの質量を「縦質量」「横質量」と呼んで区別することがある。 この概念はアインシュタインの初めの論文にも控えめに載せられている。
     方向によって質量の大きさが違う! このような性質を持つものを質量だと認めても良いだろうか? 確かに、速度が増加するほど加速されにくくなるという現象は起こる。 しかしそれによって重力に引かれる度合いが増したりするだろうか? 方向によって重力に引かれる度合いが異なったりするものだろうか?
    運動するとエネルギーは γ 倍になる
     もう一つ、別の話をしよう。 前に求めたエネルギーと運動量の関係式
    に、相対論的な運動量の定義を代入して計算してやると、
    となる。  なぜか面白い具合にこのような綺麗な形にまとまってしまうのである。 静止質量とエネルギーの関係式である「 E = mc2 」と比較すると、運動している物体の質量がもとの質量の γ 倍に増加したのではないかと考えたくなるかも知れない。 γ 倍になるというのはさっきから良く出てきている話だ。 昔はこれを「相対論的質量」とか「運動質量」とか呼んだものだ。 しかし「 E = mc2 」という関係式は、運動量が0である場合に限っての表現なので、動いている物体に対しては同じよう

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    増大する質量
    それは誤解を招く表現だ。
    質量は増えるか
     4元運動量のところで話した「新しい運動量」の定義をもう一度見てもらいたい。
     ニュートン力学での運動量の定義は「質量×速度」であった。 その考えを当てはめて比較してみると、「運動する物体の質量は γ 倍に増えているのだ」と解釈すれば、この運動量の定義を大した違和感も無く受け入れることが出来そうである。
     ところで、これまでに次のような解説を聞いたことはないだろうか?
     「物体が光の速さに近づくと、加速に使ったエネルギーはその物体の質量を増加させるのに使われてしまう。 よって、物体を光の速さにまで加速させることは永遠にできない。」
     「光の速度に近づくと物体の質量はどんどん増えるので、いくら力を加えても重すぎて加速できなくなってしまう。 物体を光速にするには無限の力が必要である。」
     果たしてこのような解説はどこまで正しいだろうか?
    方向によって違う質量
     このような「質量の増加」を説く人に対して不利な証拠を突き付けよう。 ニュートン力学では、運動量の変化率が力を表していた。
     同じように、この新しい運動量の定義を時間..

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