2-11ギブスの相律 : テキストデータ


 この他の平衡条件として、各相で化学ポテンシャルが等しいという「共存条件」がある。 ただしこれは水なら水、アルコールならアルコールといった具合に各成分について別々に考えれば良くて、水とアルコールの化学ポテンシャルを比較する必要は全くない。 これは前回も説明した。 成分 k の 第 i 番目の相における化学ポテンシャルを と表すことにすると、
ということであって、これは β-1 個の等式である。 それが各成分の数だけあるのだから、合計 α(β-1) 個の束縛条件があることになる。 つまり、化学ポテンシャルについての自由度は、
α β - α ( β - 1 ) = α
だということになるだろうか。 いや、それで全てではない。 各相の化学ポテンシャルの間には、
という「ギブス・デュエムの式」が成り立っていたことを思い出そう。 に定義されているのではなく、昔から「1気圧 ( 1013.25 hPa ) における水の氷点を0℃とする」と決められているので、このわずかな差が出てしまうのである。
 水と氷の共存曲線を見ると傾きがかなり急になっているので、圧力にかなりの差があっても氷点には大した影響が出なくて済んでいるのである。 とは言え、何とややこしい話か。 社会の混乱を最小限に済ますための配慮としては賢さを感じるが、科学的ではない部分に対して泥臭さも感じてしまうところである。 ちなみにこの定義の影響により、水の1気圧での沸点は 100℃ ではなく 99.974℃ ということになってしまっている。 ああ、もう!
資料提供先→  http://homepage2.nifty.com/eman/thermo/triple.html