2-6状態の安定性

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    状態の安定性
    毎度、表現が大袈裟なのは気にしないように。 学習意欲を煽るのが目的なので・・・。
    安定とは何か
     自然は安定な状態を「好む」のだろうか。 こういう考え方をしているなら見方を変えた方がいい。 ある状態から抜け出しにくい時、その状態を安定であると考える。 つまり自然が好むかどうかは関係無く、ただなかなか抜け出せないからその状態にとどまっているだけだととらえるべきである。 安定なんていう概念はそれだけのものだ。
     山の頂上にあるボールと、谷底にあるボールとどちらが安定かと言えば、谷底の方である。 前回も言ったが、自然がエネルギーの低い方を好んでいるのではない。 谷底では少し移動すると元の位置に戻す方向に力が働くので、ボールは仕方なくその辺りの位置でうろうろするしかないだけだ。 それを人間の言葉で解釈すれば、「エネルギーが低い方が安定である」となるのである。
     状況により様々であって、これは基本法則などではない。 エネルギーが低い時ばかりが安定だとは限らない。
    熱力学的な安定
     前回は「断熱」「等温かつ定積」「等温かつ定圧」の条件下でそれぞれ、
    という不等式が成り立っていることを導いた。 これらを使って、物質がどういう状態で安定して存在するかを調べる事が出来る。
     例えば断熱条件で不可逆変化が起こるとエントロピー S は必ず増大する。 不可逆変化なので S が増大した状態からは自然には戻ってこない事を意味する。 もしエントロピーが極大であるような状態に一度到達すれば、そこから他の状態へは変化しようがない。 つまりそこが安定した状態なのだ。
     同様に「等温かつ定積」の条件では F が極小になる状態が安定である。 この条件下ではエントロピー S は不可逆変化以外の理由でも上下するので、 S の極大で判断するわけにはいかないのだった。
     同様に「等温かつ定圧」の条件では G が極小になる状態に落ち着く。
     しかし系はこれらの関数 S, F, G の値の「変化」が最も急になるような道筋を選んで状態変化するわけではない。 斜面に置かれたボールの振る舞いとはちょっと違う。 もし仮に関数値の変化が急であるような道筋を選んだとしても、状態変化にかかる時間が短くなるというわけでもない。 状態図の上の距離は現実の時間とはまったく関係がないからである。
     こういうわけで、ある状態から出発して、そこから到達可能な極大、極小点が複数あった場合に、系が最終的にどの状態にたどり着くか、といったことは熱力学では全く予言できないのである。 熱力学とはそういう学問であって、結果についてその状態が安定かどうかということしか言えない。 しかしそれだけでも色々な事が調べられる。
    極値判定について
     関数の極大、極小を求める方法については高校の数学で学んだ事だろう。 まず関数の1階微分が0になるところを見つけ、その点での2階微分の正負によって下に凸(極小)か、上に凸(極大)かを判断するのだった。 しかし熱力学に出てくる関数は変数が一つではなく複数ある。 そういう場合については恐らく高校では習ってはおるまい。
     例としてある多変数の関数 g ( x, y, z ) を考えよう。 変数 ( x, y, z ) をごくわずか ( δx, δy, δz ) だけ変化させた時の関数 g の微小変化は
    と表される。 いや、実はこれは、そう断言するにはあまり正確ではない。 この式は、( δx, δy, δz ) に比例するような変化のみを表していて、これらの2乗、3乗に比例する

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    状態の安定性
    毎度、表現が大袈裟なのは気にしないように。 学習意欲を煽るのが目的なので・・・。
    安定とは何か
     自然は安定な状態を「好む」のだろうか。 こういう考え方をしているなら見方を変えた方がいい。 ある状態から抜け出しにくい時、その状態を安定であると考える。 つまり自然が好むかどうかは関係無く、ただなかなか抜け出せないからその状態にとどまっているだけだととらえるべきである。 安定なんていう概念はそれだけのものだ。
     山の頂上にあるボールと、谷底にあるボールとどちらが安定かと言えば、谷底の方である。 前回も言ったが、自然がエネルギーの低い方を好んでいるのではない。 谷底では少し移動すると元の位置に戻す方向に力が働くので、ボールは仕方なくその辺りの位置でうろうろするしかないだけだ。 それを人間の言葉で解釈すれば、「エネルギーが低い方が安定である」となるのである。
     状況により様々であって、これは基本法則などではない。 エネルギーが低い時ばかりが安定だとは限らない。
    熱力学的な安定
     前回は「断熱」「等温かつ定積」「等温かつ定圧」の条件下でそれぞれ、
    という不等式が成り立っている..

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