1-9エントロピーは増大する

全体公開
ダウンロード pdfダウンロード
ページ数5
閲覧数626
ダウンロード数16
履歴確認

    ファイル内検索

    タグ

    資料紹介

    エントロピーは増大する
    なーに、単純なトリックですよ。
    エントロピー増大
     前回は、
    と定義される微小量 dS を積分することでエントロピーと呼ばれる状態量が作り出せるという話だった。 不完全微分であった d'Q が、その熱がやり取りされる時の温度 T で割るだけで全微分になるという不思議なことになっている。
     dS を一周積分すると必ず0または負になるという結果を得たが、 dS を途中まで積分したときに増えるのか減るのかについてはまだ決め付けてはいけない。 エントロピーはどういう時に大きくなって、どういう時に小さくなるのかを調べてみよう。
     工夫次第で、ここまで得た知識だけからエントロピーの振る舞いを知ることができる。 例えば下の図のように状態 A から状態 B まで進み、状態 B から状態 A まで戻ってくることを考える。 ただし、行きは準静的過程とは限らないとしよう。 帰りは準静的過程で帰ってくることにする。
     準静的過程でない場合には状態が定義できないので、グラフ上には表せない。 行きのコースはそういう場合もありうるということで点線で描いてある。 この行き帰りのコース全体について次のような式が成り立っている。
     状態 A と状態 B でのエントロピーは、どこか適当なところを基準にして準静的過程で結ぶことで定義できるので、
    と計算できる。 状態 A と状態 B の差が微小であるときには、
    と書けるであろう。
     行きのコースが準静的過程である場合には等号が成り立っている。 つまり外部から熱をもらうときには右辺は正になりエントロピーは増えるし、熱を外部に与える時には右辺は負になりエントロピーは減少することが言える。
     しかし不可逆過程の場合には不等号が成り立つので、それ以上にエントロピーが増える場合があるようだ。
     もし行きのコースで外界との熱のやり取りがなければ d'Q = 0 であるから、
    が言えることになる。 これが有名な「エントロピー増大則」と呼ばれるものである。 つまり、断熱系で不可逆過程が起こるとエントロピーは増大することが言えるのである。
     逆に「断熱系でエントロピーが増大する時は不可逆過程である」と言い換えて、熱力学の第2法則の代わりに使ってもいいのではないだろうか。
     「断熱系ではエントロピーが増大するように現象が起こる」
     これが数式の助けを借りた熱力学の第2法則の別表現だ。
    なぜ増大するのか
     何か変じゃないか? 不可逆過程を含む場合にぐるりと一周積分すると負になってしまうような量が、なぜ不可逆過程を含んだ部分区間で必ず増えてしまうという結論になるのだろう? 一周して負になるのは、その問題の区間で負になるからではないのだろうか? 感覚と逆のことが起きているような気がする。
     これは、エントロピーという量が状態量であって、結局は、平衡状態でしか定義できない量であることがその理由である。 不可逆過程が起きている最中のエントロピーというのは考えられない。 つまり、だ・・・。
     状態 A から出発して、断熱系で不可逆過程が起こり、訳が分からない状態を抜けて、気が付くと状態 B にいた。 しかし断熱だから d'Q = 0 であって、たとえその時の温度 T がはっきり定義できない状態であったにせよ、積分への寄与はしていないはずだ。 ところがここから状態 A に戻るまでの積分は負になるという。 つまり、気付かないうちに高エントロピー状態へジャンプしていたのだ。 とまぁ、先ほどの計算を言葉で表せばこんな具合

    資料の原本内容( テキストデータ全体をみる )

    エントロピーは増大する
    なーに、単純なトリックですよ。
    エントロピー増大
     前回は、
    と定義される微小量 dS を積分することでエントロピーと呼ばれる状態量が作り出せるという話だった。 不完全微分であった d'Q が、その熱がやり取りされる時の温度 T で割るだけで全微分になるという不思議なことになっている。
     dS を一周積分すると必ず0または負になるという結果を得たが、 dS を途中まで積分したときに増えるのか減るのかについてはまだ決め付けてはいけない。 エントロピーはどういう時に大きくなって、どういう時に小さくなるのかを調べてみよう。
     工夫次第で、ここまで得た知識だけからエントロピーの振る舞いを知ることができる。 例えば下の図のように状態 A から状態 B まで進み、状態 B から状態 A まで戻ってくることを考える。 ただし、行きは準静的過程とは限らないとしよう。 帰りは準静的過程で帰ってくることにする。
     準静的過程でない場合には状態が定義できないので、グラフ上には表せない。 行きのコースはそういう場合もありうるということで点線で描いてある。 この行き帰りのコース全..

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。