4-2ひもが波打つ理由

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    ひもが波打つ理由
     今回はごく初歩のニュートン力学の方法によって、波の式を導いてみよう。 解析力学の手法は使わないことにする。 いきなり解析力学の手法を紹介してしまうと、「波の式というのは解析力学のテクニックを使わないと簡単には求められないものなんだ」なんていう誤った印象を持たれてしまうかも知れない。
     さて、何を例に取ろうか。 複雑な例を考えるのは面倒くさい。 ここでは波の一例を示せればいいのであって、ピンと張ったひもの上にできる波について考える事にする。
     ひもと言っても材質は糸だけとは限らない。 ギターの弦やピアノ線を想像してもらえば分かるが、金属やナイロンや、動物の腸や毛など、色々ある。 これらの楽器の弦は両側から引っ張って、張力を掛けてある。 その張り具合によって音程を調整するのである。 なぜ張力の掛け方によって音程が変わるのかも、今回の話で説明できるだろう。
    モデルの準備
     ニュートン力学を使うためには、ニュートンの運動方程式を適用できるようにしないといけない。 そのために、ひもの各部分をバラバラに分けて、それらの一つ一つが運動方程式に従う物体であると考えることにする。 次の図のようなモデルである。
     質量 mi を持った幾つもの物体がバネでつながれて並んでいる。 この鎖状の構造体は左右から張力 T で引っ張られているとする。 ひもの材質が何であれ分子、原子が結合して出来ているのだから、ミクロに見ればこんな感じだろう。 バネはそれぞれの部分を結合している原子間、分子間の力を譬えているのである。 本当はもっと複雑な構造なのだろうけれど、まずは思い切り単純化して考えてやるのが良く使われる手である。 このモデルでうまく説明できなければ別のモデルを考えるまでだ。
     次に、この中の質点の一つだけを上か下に少しだけ移動させてやったら、何が起こるだろうかというのを想像してみる。 次の図のような状況である。
     物体間の距離が a であり、物体が上に dy だけ移動したとする。 バネは少しだけ伸びた分、先ほどより強い力で物体を引っ張るだろう。 しかし dy が a に比べて極めて小さい場合に限定して考えれば、その力は T とほとんど変わらないと見ていい。 その T の変化の度合いが無視できる程度だということは計算して示すことも出来るのだが、面倒な割にあまり利益は無いのでここでは省略しよう。
     物体は左右から斜めに引っ張られている。 その合力の x 軸成分は打ち消されるが、 y 軸方向には助け合うことになって、その力は - 2 T sinθ である。 ここで dy << a の時には sin θ ≒ dy/a と近似できるので、 y 方向へ働く力は - 2 T dy/a であると言える。
     近似の繰り返しによって計算結果が不正確になってしまうのではないかという疑念を持つかも知れない。 今から導かれる結果がもし現実離れしていたら、この辺りの誤差の扱いが大雑把過ぎるのではないかという可能性も検討すべきだろう。 実際に振幅が非常に激しい場合には「非線形振動」なんていう高校物理ではやらないような現象が出てくる。 しかし今は、高校物理でも扱うような波ががひもの上に生じることを導こうとしているのであり、そのためにはこの程度の扱いで十分であることが今に分かるだろう。
     さて、上ではたった一つの質点のみが y 方向へ変位した場合を考えたが、実際は、全ての質点がそれぞれバラバラに動くのである。 その場合には右からと左からの力が等しいということはないから、右

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    ひもが波打つ理由
     今回はごく初歩のニュートン力学の方法によって、波の式を導いてみよう。 解析力学の手法は使わないことにする。 いきなり解析力学の手法を紹介してしまうと、「波の式というのは解析力学のテクニックを使わないと簡単には求められないものなんだ」なんていう誤った印象を持たれてしまうかも知れない。
     さて、何を例に取ろうか。 複雑な例を考えるのは面倒くさい。 ここでは波の一例を示せればいいのであって、ピンと張ったひもの上にできる波について考える事にする。
     ひもと言っても材質は糸だけとは限らない。 ギターの弦やピアノ線を想像してもらえば分かるが、金属やナイロンや、動物の腸や毛など、色々ある。 これらの楽器の弦は両側から引っ張って、張力を掛けてある。 その張り具合によって音程を調整するのである。 なぜ張力の掛け方によって音程が変わるのかも、今回の話で説明できるだろう。
    モデルの準備
     ニュートン力学を使うためには、ニュートンの運動方程式を適用できるようにしないといけない。 そのために、ひもの各部分をバラバラに分けて、それらの一つ一つが運動方程式に従う物体であると考えることにする。..

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