民主主義の歴史と現在~公共放送の役割と課題~

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     「表現の自由」は個々の国民に保障された権利であるが、法人であるマスメディアにも法的権利として認められている。しかし、マスメディアの享受する「表現の自由」は、個人が享受する「表現の自由」とは異なっている。
    マスメディアが行使する「表現の自由」は、国民の「知る権利」に応えるという意味合いが大きい。国民が民主主義の主体として意見を形成し表明するためには、まずそれに不可欠な判断資料を得る必要がある。その情報を正確に国民に伝達するのが、マスメディアの役割である。特に政治的側面においては、マスメディアの報道があってはじめて、国民は政治の動向を知り、主権者として権利を行使したり義務を遂行したりすることができる。例えば選挙権を行使するには、国政などに関する情報が不可欠である。また為政者や個々の国民の意見を報道によって知ることで、人々が世論形成などに関わり民意を国政などに反映させることが可能となる。そういう点で、マスメディアの報道が民主主義の根幹を支えているといってよい。
    このように、マスメディアの「表現の自由」は、国民の「知る権利」に奉仕するために保障されているという側面が強い。国民の意思形成に多大な影響を及ぼすマスメディアだからこそ、提供する情報は正確で公正でなければならない。この原則が守られるために、放送においては、放送番組の内容について放送法で多くの規律が設けられている。
     また放送番組が他の基本的人権と衝突した場合にも、調整が必要となり、場合によっては一定の制約を受けざるを得なくなる。民主主義社会である以上、「公共の福祉」との兼ね合いを考えなければならない。例えば、プライバシーの権利との衝突や、暴力的・性的表現による悪影響などがある。これらの場合についても、法律で規定されていたり、放送局が自主的に規制基準を設けていたりする。
     
     テレビ放送には公共放送と民間放送がある。いずれも電波を利用した不特定多数への情報発信であり公共性を有しているといえるが、民間放送は公共放送と違い営利を目的としており、財源はスポンサーからの広告料である。したがって、過剰に番組内容を「視聴者の見たいもの」に合わせようとする視聴率主義に陥ったり、スポンサーの意向が番組に影響したりしてしまう。一方公共放送(NHK)は、受信料を財源としているため、このようなしがらみに捉われる必要はない。放送法において、民間・公共問わず「放送の不偏不党」「政治的に公平であること」「報道は事実を曲げないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などが定められているが、営利目的ではない分、民間放送より公共放送のほうが、国民の「知る権利」に奉仕するという役割に従事しやすいといえる。
     ヨーロッパメディア研究所は「公共放送『3つの柱』」として以下の3つを定めている。
    1.誰でも好きな番組を自由に見ることができること(視聴者に番組を見る自由を提供)
    2.文化の担い手であってそこに住む人々の心の絆を強めること
    3.視聴者との対話を進め、人々に指針を提供することにより社会の重要な構成要素となること
    日本では、放送法によって、NHKには民間放送より多くの規律が設けられ、国の「公共」放送としての役割を果たすことを強いられている。放送法は、NHKに対して、例えば次のような規律を設けている。
    ・あまねく日本全国において受信可能とすること(第7条)
    ・放送及びその受信の進歩発達に必要な技術開発(第7条)
    ・国際放送及び委託協会国際放送業務を行うこと(第7条)
    ・全国

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     「表現の自由」は個々の国民に保障された権利であるが、法人であるマスメディアにも法的権利として認められている。しかし、マスメディアの享受する「表現の自由」は、個人が享受する「表現の自由」とは異なっている。
    マスメディアが行使する「表現の自由」は、国民の「知る権利」に応えるという意味合いが大きい。国民が民主主義の主体として意見を形成し表明するためには、まずそれに不可欠な判断資料を得る必要がある。その情報を正確に国民に伝達するのが、マスメディアの役割である。特に政治的側面においては、マスメディアの報道があってはじめて、国民は政治の動向を知り、主権者として権利を行使したり義務を遂行したりすることができる。例えば選挙権を行使するには、国政などに関する情報が不可欠である。また為政者や個々の国民の意見を報道によって知ることで、人々が世論形成などに関わり民意を国政などに反映させることが可能となる。そういう点で、マスメディアの報道が民主主義の根幹を支えているといってよい。
    このように、マスメディアの「表現の自由」は、国民の「知る権利」に奉仕するために保障されているという側面が強い。国民の意思形成に多大..

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