中国企業における労使関係の特徴

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    資料紹介

    中国企業における工会、および労使関係の特徴
    一、はじめに
    二、企業組織外の環境の特徴
    1-1 政治的環境と経済的環境
    企業組織内の環境の特徴
    2-1「工会」の沿革
    2-2「工会」の現状
    2-3「工会」の定義
    2-4「工会」の特徴
    2-5「工会」の設置
    四、「従業員代表大会」について
    五、労働行政
    六、中国の工会、および労使関係における動き
    一、はじめに
     1970年代後半に鄧小平が改革開放の政策を唱え、中国の経済体制が根本的に改善された。それ以来、十数年にわたって中国の経済が、外国企業からの投資を大量に吸収することによって迅速に発展してきており、そして、発展途上国である中国は労働賃金の水準が先進国より大変低いため、外国企業の加工生産・製造の拠点となり、「世界の工場」と呼ばれている。現在、その「世界の工場」という性質には、ますます「世界の市場」というもうひとつの性質が加わることとなっている。先にひとつ説明したいのは、中国が単に「世界の工場」から「世界の市場」に進化していき、最終的に「世界の市場」の性質だけが残るのではなく、その二つの性質が並存するという理解を持っていただきたい。それゆえ、「世界の工場」が、中国の巨大で、かつ廉価な労働力を活用することが、外国企業の中国進出にとって欠かせないことであり、従って中国の労使関係の構造特徴、現状についての認識が極めて重要である。本文では、中国企業、また中国に進出した外資企業の内部にある工会という組織を中心に、議論を進めていく。
    企業組織外の環境の特徴
    1-1 政治的環境と経済的環境
    企業組織の外部環境を認識することで、中国(企業)の労使関係の形成過程、背景を知ることができる。それを認識したうえで、中国の労使関係の独特な特徴についてはっきりと理解することができる。
    本文で企業組織の外部環境の構成を、わかりやすいように、政治的環境と経済的環境との二つとして、説明していきたい。政治的環境とは、ここで、労使関係を含む中国企業の組織構造に影響を与えている政治的体制とその政策、制度による波及効果を意味している。経済的環境とは、その国の政治環境の下で形成した資本市場の構造や、経済動向、などに関するあらゆる経済的活動、政策である。この二つに構成された外部環境が企業の組織構造、性質に大きな影響を与えると考えられ、特に中国の外部環境において、その独特な政治体制がひとつの特徴であるともいえよう。
     中国の政治的体制は、周知のように社会主義であり、それによって1970年代後半の改革開放までは、経済的環境が社会主義の代表的な計画経済であった。1990年代に入ると、外国の経済システムとのかかわりの中、影響を受け、中国の経済的環境が計画経済に代わって、市場経済に転換することに成功した、とはいえ、政治的体制には変化がまったくなかったので、一見、自由主義を重視した市場経済のシステムの中には、実は社会主義的なものが入っている。その形態の表現として、中国の現在の経済的環境が「社会主義市場経済」と呼ばれている。これは、中国の政治的環境と経済的環境と結合してできた独特な外部環境である。その外部環境は、また企業の内部環境構造に決定的な影響を与えつつである。これから、中国企業と日本企業との最も異なる部分とも言われている―「工会」(日本で言う「労働組合」)を取り上げて議論していく。
     
    三、企業組織内の環境の特徴
    2-1 「工会」の沿革
     19世紀の末に、広州、香港、上海、天津などの工業先進地域で労働者団体が結成され、組織的な労働運動が

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              中国企業における工会、および労使関係の特徴
    一、はじめに
    二、企業組織外の環境の特徴
    1-1 政治的環境と経済的環境
    企業組織内の環境の特徴
    2-1「工会」の沿革
    2-2「工会」の現状
    2-3「工会」の定義
    2-4「工会」の特徴
    2-5「工会」の設置
    四、「従業員代表大会」について
    五、労働行政
    六、中国の工会、および労使関係における動き
    一、はじめに
     1970年代後半に鄧小平が改革開放の政策を唱え、中国の経済体制が根本的に改善された。それ以来、十数年にわたって中国の経済が、外国企業からの投資を大量に吸収することによって迅速に発展してきており、そして、発展途上国である中国は労働賃金の水準が先進国より大変低いため、外国企業の加工生産・製造の拠点となり、「世界の工場」と呼ばれている。現在、その「世界の工場」という性質には、ますます「世界の市場」というもうひとつの性質が加わることとなっている。先にひとつ説明したいのは、中国が単に「世界の工場」から「世界の市場」に進化していき、最終的に「世界の市場」の性質だけが残るのではなく、その二つの性質が並存するという理解を持っていた...

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