小説ノート3

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    ★しずく 2009年09月10日 西 加奈子 ★影 でも私は、皆から見られている「私」に、あまりにも敏感だった。太陽が乾かした髪のように、さらさらとして、そして強い女だという「自分」を変えてしまうことよりも、守ることの方が簡単だったのだ。 彼が日常、私と同じような窮屈さを感じているのかもしれないということが、私の心の奥底の何かを和らげた。私は久しぶりの居心地の良さを感じ、ああこれが、私が求めていたものなのだと思った。彼には、私のそんな気持ちを伝えることはなかった。私の気持ちは誰あろう貫井さんが一番分かってくれていると思っていたし、自然その信頼の気持ちは、私の態度に表れているだろうと思っていたのだ。 でも、違っていた。それを知らされ、私は愕然とした。貫井さんは私を分かってくれているなど、幻想にすぎなかった。涙が止まらなかった。貫井さんはしばらくオロオロとしていたが、「すまない」という言葉を残して、玄関を開けた。 いや、本当は知っていた。自分が何に怯えているのか、私は知っていた。でも、貫井さんに会ったこと、私を知ってくれている人がいるということが、私を勇気づけた。 ほんの一瞬でも、良かった...

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