読書ノート12

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    モーツァルトとクジラ 2009年08月20日 ジェリー・ニューポート, 八坂 ありさ なぜ、こんな苦しみに耐えていたのか?理由は簡単だ。自分を理解するには、自分以外の人間が必要だった。ぼくが存在するのは、ほかの人がぼくのことを考えているときだけ。ぼくをまともな人間に見せてくれる恋人がいなければ、だれからも省みられることはない、と思いこんでいたのだ。 自分の感情には、かなり敏感な子どもだった。どんな感情でも――微妙なものであっても――頭、つまり心に波のごとく押し寄せてくる。自分でも途方に暮れるほど、はっきり感じられた。それなのに、ほかの人の感情となるとなかなか理解できない。わかろうとしないのではない。ほかの人の感情というデータがぼくの頭に入ってくるには、長い時間がかかるのだ。そのデータが入ったとき、最終的に頭のなかまで到達したときに、やっとその感情がわかり、背筋が寒くなる。 ぼくにとってほかの人の痛みを感じること、他者の感情を認識することは、経験によって会得するスキルなのだ。痛みは文字どおり感じなかった。 社会という荒野を渡ろうとすると、すべてが深い霧に包まれているように感じた。方向感覚...

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