憲法論文答案練習裁判所 違憲判決の効力

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    資料の原本内容

    憲法論文答案練習 裁判所
    ~違憲判決の効力~
    【問題】
     裁判所の違憲判決の効力について説明せよ。
    【考え方】
    ・・・違憲判決がなされることにより、違憲とされた法律はどのような状態に置かれるのか。これは、いわゆる違憲判決の効力の問題であるが、この問題は違憲審査権の法的性格をどう捉えるのかを密接に関わる。
     → 違憲審査権の法的性格を抽象的審査制であるとする見解を前提とすると、違憲審査に事件性が必要なくなることから、当然、違憲判決は当該法令を法令集から除去せしめるか、それと同様の効果をもつこととなる(一般的効力説)。
     → 違憲審査権の法的性格を付随的審査制であるとすると見解が分かれる。
     1)個別的効力説
     ・・・違憲審査権は、具体的な事件に付随して、その解決に必要な範囲で行使されるものであること、法律を一般的に無効とすると消極的立法となり、三権分立原則に反するおそれがあること等を根拠として、違憲とされた法律は当該訴訟の当事者間においてのみ無効とされるにとどまるとする見解。
     2)一般的効力説
     ・・・憲法98条からして、違憲とされた法律は当然無効となるべきこと、個別的効力説では、不特定多数に向けられている法令の基本的性格に反し、ひいては憲法14条に反するおそれがあること等を根拠として、一般的効力を認める見解。
     3)折衷説
     ・・・個別的効力説を前提としながら、それでは、最高裁が違憲とした法令を内閣が「誠実に執行し」(憲73条1号)なければならなくなるという不合理な結果が生ずることを根拠として、違憲判決に当該法律を廃止する効果は認めないが、違憲とされた法律は一般に執行されないことになるという意味で、実質的な一般的効力を認める見解。
    【答案例】
     違憲審査権の性格については付随的審査制が妥当するとして、違憲判決の効力については、どのように考えるべきか。
     確かに、純理論的には違憲審査権発動の契機、形式とその結果たる判決の効力とは別次元のものであるといえる。しかし、付随的審査制を妥当とする以上。違憲審査権は、具体的事件の解決に必要な限度でのみ行使されるのであるから、違憲判決の効力も当該訴訟当事者に関する限りのものとみるのが筋である(個別的効力説)。しかし、個別的効力説を徹底すると、同種事件につき異なった判断がなされた場合など不平等が生じ、憲法14条に反するおそれもある。
     もっとも、そうであるからといって、違憲判決が当該法令を法令集から除去せしめるか、または除去せしめると同様の効果をもつ(一般的効力説)と考えることはできない。けだし、一般的効力説によれば、裁判所に消極的立法作用を営む権能を与えることになり、国会を唯一の立法機関とする憲法41条に反するおそれがある。
     そこで、私は、わが国の違憲審査権の性格が付随的審査制であり、国会を唯一の立法機関であるとする憲法41条が存在する一方、憲法14条の平等権の保障の要請や、最高裁が違憲無効とした法律を「誠実に執行し」なければならない(憲73条1号)のはきわめて不合理である出あることも考慮して、最高裁判所の違憲判決に当該法律を廃止する効果は生じないが、違憲と判示された法律は一般に執行されないことになるという意味において、実質的な一般的効力を認めるべきである(折衷説)と考える。
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