津地鎮祭訴訟 第1審判決 : テキストデータ

関係における支出命令権者は市長角永清というべきであるが内部的には教育委員会の委任に基ずき教育長が専決処分をしたわけであるから対内的な支出命令権者は津市教育委員会というべきであり、従つて右支出は市長角永清及び教育委員会(委員長は大森四郎)が共同でこれに関与したものというべきである。 [7]四、ところで右神官報償費等の支出は次の理由により違法である。 [8](一)憲法第20条第3項は国及びその機関はいかなる宗教的活動もしてはならない旨規定しているが、これは信教の自由の保障を完全なものにするため国家がすべての宗教に対して中立的立場に立つこと換言すれば政教分離の原則を宣言するものであつて、この原則は当然国家の宗教団体えの援助の禁止を包含するものであり、憲法第89条前段はその旨を財政面から明確にしたの である。しかるに本件起工式は先に述べた式次第からしても神道の宗教的活動に該当することは明白であり、かゝる宗教的儀式に関し、神官報償費等を支出することは憲法の右諸規定に反する違法な支出であることは明らかである。 [9] 附言すれば本件のように神式による起工式が世上往々にして私人間に広く行われていたとしても、その故を以つて公的機関である公共団体が右のような神式による起工式を私人と同じようになしても憲法に違背しないという論は失当と考える。 [10](二)地方自治法第138条の2は普通地方公共団体の執行機関は普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基く事務を自らの判断と責任において誠実に管理し及び執行する義務を負う旨規定している。しかるに本件起工式の運営については神式による起工式を禁止した行 政実例等があるにも拘らず被告らが敢て前記のとおり神式による起工式を行い、神官報償費等を支出したことは地方自治法の右規定に反する違法な支出であることもまた明らかである。 [11]五、従つて被告らは共同して前記のとおり神式による違法な起工式を執り行い、違法に金7,663円の公金を支出して津市に対し右金額相当の損害を与えたのであるから被告らは連帯して津市に対しこれが損害を補てんすべき義務がある。 [12]六、原告は市会議員として本件起工式に招待をうけたことによつて何等信仰していない前記のような神式による宗教的儀式に参加を強いられ(市会議員が招待を受けながら格別の理由もなく欠席することは世論の批判を招くことは明白であるから原告としては出席せざるを得なかつた。)そのため精神的苦痛を蒙つた。その慰藉料は金5 育委員会に対する地方自治法第242条の2に基ずき損害補てんを求める請求はその余の点を判断するまでもなく不適法な訴であつて却下を免れない。 [4]二、(一) つぎに本件請求中被告津市長角永清に対する訴について考えるに前述の理由により被告は津市長角永清ではなく個人としての角永清とさるべきである。この見地に立つて考えれば本訴状中被告角永清の氏名の上に表示されている津市長なる記載は単に現職を示したものにすぎないものであつて、個人としての角永清を被告としたものと解するのが相当である。 [5](二) そこで被告角永清に対する原告の損害補てんの請求部分について判断するに、昭和40年1月14日津市体育館起工式が同市船頭町所在の建設現場において挙行されたこと、右起工式は原告主張のとおり宗教法人大市神社宮司宮崎