雇用とジェンダー

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    内容説明

    第2 基礎理論
    1 はじめに
     昭和40年代から50年代にかけて、男女雇用差別訴訟の論点は、結婚退職制度、女子若年定年制、男女別定年制、女子のみを対象とした整理解雇基準などの雇用継続に関する差別の問題であった。しかし、定年・退職・解雇についての差別を明文で禁止する「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女性労働者の福祉の増進に関する法律」(以下、旧均等法という。)が昭和61年4月1日に施行されると、昭和60年代以降、賃金、昇進、昇格などの処遇に関する差別にその重点が移っている。
     性別を理由とした処遇差別を主張しその救済を求める訴訟は、近年その数が増加している上、その立証に困難が伴い、差別が認められた場合の救済方法についても実務上見解が分かれていることから、現在の労働裁判における重要課題の一つである。
     本レポートでは、昇進、昇格における差別的取扱いに焦点を絞り、実務上の問題点と裁判例について検討する。