時効の援用につきその法的性格

閲覧数1,785
ダウンロード数8
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

     1.時効とは、一定の事実状態が法定期間継続した場合に、その事実状態が真実の権利関係に合致するかどうかを問わず、権利の取得や消滅という法的効果を認める制度をいう。
    民法は、「時効は当事者が援用しない限り、裁判所は時効による権利の得喪をもとに裁判できない。」(145条)と規定しているのに、他方では、一定の期間が経過すると権利を「取得ス」もしくは権利は「消滅ス」と規定している。(162条・167条)
    そこで、時効期間が経過した後、当事者が援用するかどうかを決するまでの法律関係をどのように理解すべきかが問題となる。
     2.援用とは、時効の利益を受けるものが時効の利益を受ける意思を表示することをいう。時効を援用することができる者は、時効により所有権を取得した者または債務を免れた者である。判例はかつて、援用権者を狭く解していた。「本条は時効の利益の享受を当事者の意思に委ねたものであるところ、直接の当事者が時効の利益を受けることを望まないのに間接に利益を受ける者が時効の利益を受けるのは本条の趣旨に反するから、援用権者は時効によって直接に利益を受けるべき者とその承継人に限定される。」(大判大8・6・...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。