カンガルーケア

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    資料紹介

    母性看護 小児看護、の実習でお役に立てればとおもいます。

    資料の原本内容

    ◆はじめに
    カンガルーケアのはじまり
    ◆カンガルーケアの広がり
    ◆NICUの環境
    ◆カンガルーケアの評価
    ◆発展途上国と先進国のカンガルーケアの相違
    ◆カンガルーケアの機能
    ◆赤十字産院で行っているカンガルーケア
     NICUに収容されると、長期間親から隔絶された状態におかれることも多い。また、NICUに入室したことにより褥婦は罪責感や将来の不安や否定的な感情をもってしまう。このことから母子の愛着形成が障害され、母子分離がおこる。特に新生児期に母子分離が起こることにより、被虐待児症候群になる率が高いと言われ、母子の愛着形成の必要性が求められている。最近愛着形成にも有効であるカンガルーケアは注目されている。
     1979年コロンビアのボゴタで2人の小児科医師によって極低出生体重児を対象にはじめられた。保育器が不足した為、母親などに自分の体温で赤ちゃんを温めてもらおうという処置をとってもらった。これにより、低出生体重児であっても、自律哺育が容易になった。感染源から隔離することができたため、低体温、栄養不足、交差感染による死亡が激減した。とくに極低出生体重児の生存率が著しく改善した。養育遺棄がなくなった。などの効果があった。
     当時、カンガルーケアに対する批判はあったものの、カンガルーケアによる死亡率の増加はなく、しかも養育遺棄が減少することは確かであったため、ヨーロッパ・北欧諸国のNICUがカンガルーケアに注目をし始めた。それらの施設では、母子の愛着形成を促進するとともに、高度技術が引き起こす、過剰刺激から極低出生体重児を保護する目的で、カンガルーケアの追試が行われた。その結果、
    体温維持
    呼吸、循環系の安定
    赤ちゃんのストレス軽減に基づく余剰エネルギー消費の軽減
    など、生理学的な意味が確立され、低出生体重児の保育にカンガルーケアが役立つことが解明された。また、心理的な効果として
    カンガルーケア中は赤ちゃんの静睡眠が増し、NICU環境から受けるストレスからの癒しになる。
    母親にとっては、女性として母親としての爽快感や、早産となったために生じる罪悪感、傷つきが癒されるとともに「我が子の母親は唯一、自分なのだ」ということを確認でき、自信を回復していく過程に役立つ。
    ことがわかった。このような裏付けのもとで、カンガルーケアは一方ではNICUの代賛法として発展途上国に広まり、他方では母子心理発達の面から先進国に取り入れられるようになった。
     胎児は薄暗く快適な子宮内で成長するが、未熟児はこの快適な胎内生活とはまったく異なったNICUという環境で、しかも硬いプラスチックの保育器の中で育てられる。そのため、強い雑音(118dbという交通機関内の音に匹敵し、しかも長時間さらされている)や過度の明るさ(昼夜なく照明がついており、さらに音のレベルも常に変わらないため、安静にしている期間が短くなる)など、不適切な聴覚・視覚刺激を受ける。また1日のうちに何度も身体評価や採血などの医学的操作を施されるほか、体位変換やオムツ交換などの運動刺激、さらに無呼吸回復の為の過度の接触刺激に絶えずさらされている。しかも母親によるぬくもりのある抱擁や話しかけ、あやしなどの正期産で生まれた赤ちゃんなら普通に受ける子宮外での適切な刺激も奪われている。その結果、もともと未熟で適応能力が低いこともあり、子宮外生活への適応も難しくしている。とくに、極低出生体重児は神経学的に知覚統合が未熟なこと、呼吸・循環・体温維持などの生理学的因子が不安定で予備能力も低い為、NICU環境のストレスを受けやすいといえる。欧米では1980年代からNICU環境が赤ちゃんに及ぶ影響について研究が行われ、赤ちゃんの成長発達を促進させるためにケアが見直されるようになった。
     1983年、ユニセフではカンガルーケアを発展途上国で推進する為、「保育器に未熟児を収容する代わりに、母親の乳房にぴったり接触させる。これには科学的技術は必要なくコストも要らない。カンガルーケアの導入前では、1000g未満の低出生体重児の全員が死亡していたが、今ではその3/4が救命されている。1000~1500gの低出生体重児の死亡率は70%から10%に低下した」と宣言し、低出生体重児の保育方法として世界中に広めている。
     カンガルーケアはローテクにもかかわらず、低出生体重児のトータルケアとして行われ、発展途上国の低出生体重児の救命に大きく貢献している。一方ハイテクを駆使して低出生体重児が比較的容易に救命している先進国では逆にハイテクゆえに妨げられる母子愛着過程を取り戻すものとして、ローテクのカンガルーケアが位置づけられている。
     ・保育器よりも母親の肌のほうが体温を保つ効果が高い。
     ・保育器の内外でも、低出生体重児は無呼吸を起こしやすいが、母親が呼吸すると赤ちゃんが刺激される為、無呼吸が少なくなる。
     ・少し立て抱きにした姿勢(カンガルーポジション)は酸素を非常に効率よく体に取り入れることができる。
     ・感染症についても、もともと健康な人の肌には、常在菌がついていて、母親の常在菌を与えることで、ほかの悪い菌の感染を予防できる。
     ・赤ちゃんと母親などとの「愛着」の形成や、母親の気持ちの安定にとても有効である。
     全身状態が安定し、呼吸器や点滴を行っていない赤ちゃんに、肌と肌が触れ合うように母親・父親が裸の赤ちゃんを直接抱く方法がカンガルーケアである。抱っこしている様子がお母さんカンガルーとそのポケットに入ったカンガルーの赤ちゃんに似ていることからこのような名前がついた。その効果は、母親・父親の体温で赤ちゃんが温まり、呼吸も心拍も安定する。手で赤ちゃんに触れるよりも胸で赤ちゃんを抱くことにより、お互いのぬくもりを感じることができる。また、母乳の分泌もよくなるといわれている。赤ちゃんのストレスが減り、余分なエネルギー消費が少なくなり、体重増加がよくなる。そのほかにもたくさんの効果があるといわれている。
    カンガルーケアによって
    赤ちゃんの呼吸が規則的になり安定する。
    赤ちゃんの眠りが深くなり、起きているときも穏やかになる。
    赤ちゃんの感染症の危険が減少する。
    母乳保育が進む。
    など、赤ちゃんにとって効果が得られている。
    カンガルーケア

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