『沖縄イメージの誕生』を読んで

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    『沖縄イメージの誕生』
     本書では、従来の「イメージによって単純化される現実・経験」、「イメージに対する実態の優位」という二元論的な視点を脱して、「イメージによる現実・経験の複雑化」という視座を提示し、「イメージと実態との関係を問う」という問題提起がなされている。「イメージ」、つまり広義の「知」が現実を構築し変容させていくプロセスを把握するために、本書の議論ではミシェル=フーコーの「エピステーメー」の概念を用いている。
     「知が現実を作る」という過程の実例として、現代に広く私たちに共有されている「沖縄イメージ」の誕生の経緯と、そのイメージが現実にもたらした影響力について、75年の沖縄海洋博を「文化装置」として、それを軸にして議論を進めて行く。その際重要となるのは、海洋博が日本国土復帰後の歴史の中に立ち上がってくる過程の文脈依存性と、それが以後の沖縄の現実をどのように方向付けていったかという文脈指示性である。
     また筆者は同時に、これまで経済的側面でしか語られることがなく、十分な研究の対象とされてこなかった海洋博そのものを、カルチュラル・スタディーズの立場から再評価することにも試みている...

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