刑事訴訟法 問題・答案 通常逮捕の要件

閲覧数2,541
ダウンロード数7
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    タグ

    資料の原本内容

    刑事訴訟法 問題・答案 通常逮捕の要件
    問 通常逮捕における逮捕の必要性について述べなさい。
    答案
    1 通常逮捕
      被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるときに、令状の発布を得て
     行う身柄拘束をいう。
    2 通常逮捕の要件
     逮捕の理由
    「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が必要になる。「罪」とは、
        特定の犯罪を意味する。何らかの罪では足りない。また「相当な理由」とは、
        証拠資料等によって裏付けされた客観的、合理的根拠による嫌疑があることを
        意味する。
     逮捕の必要性
    刑訴法199条2項は、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる
       相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員の請求により、
       前項の逮捕状を発する、但し、明らかに逮捕の必要性がないと認めるときは、
       この限りではない」と規定する。
        逮捕の必要性とは、被疑者が逃亡のおそれ、あるいは罪証を隠滅するおそれが
       あることを意味する(刑訴規則143条の3)。
    3 必要性の有無の判断
      単に逃亡や罪証隠滅のおそれがあるという観念的・抽象的な可能性・理由では足りない。観念的・抽象的な可能性・理由は、すべての被疑者に該当するものであり、逮捕の必要性を要するとした意味がなくなってしまうのである。
      そこで、個別的・具体的な可能性・理由がなければならないとされている。
     そのため、逃亡や罪証隠滅のおそれの蓋然性を疎明する資料が必要となる。
      もっとも、必要性を判断するに当たっては、事件の性質や被疑者の事情等を踏まえる
     必要がある。
      この点で、刑訴規則143の3は、
       「逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、
       被疑者の年齢及び境遇ならびに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、
       被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の
       必要がないと認めるときには、逮捕状の請求を却下しなければならない」
     と規定している。
      この規定は、裁判官が必要性を判断する際におけるものであるが、捜査機関
     側にあっても、同様に、逮捕の必要性について、慎重・厳格に判断すること
     が求められているのである。

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。