第Ⅰセメスター先端教養:評定S

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    資料の原本内容

    2008/07/04提出 先端教養レポート
    タンパク質の立体構造について
    タンパクの安定化の機構
     タンパク質の一次構造であるアミノ酸配列は、DNAによって規定されている。DNAが転写・翻訳されて合成されたペプチドは各種の安定化因子によって構造が安定化され、翻訳後修飾が行われて、αへリックス・βシート・ターンなどの二次構造となり、二次構造を基本単位として形成される三次構造、さらには同種あるいは異種のタンパク質の相互作用により形成される複合体構造である四次構造を形成する。ここで、タンパク質の安定化で重要な役割を果たしている安定化因子には主に次の四つが挙げられる。
    ①共有結合 ②水素結合 ③疎水性相互作用 ④静電的相互作用
     ①の例としては硫黄元素を含むアミノ酸間で起こるジスルフィド結合や配位結合がある。これらは翻訳後修飾の例であり、その他の翻訳後修飾としては、補因子の結合(可逆・不可逆共に)がある。②は電気陰性度の大きい元素(N,O,Fなど)と水素元素間で形成される。
    立体構造情報の重要性
     ペプチド結合において、炭素原子と窒素原子の間の二重結合と炭素原子と酸素原子の二重結合は共鳴状態にある。(-C=O↔-C=N-)これによる立体障害はそのタンパク質が取るべき立体構造になるのに役立つ。またタンパク質によってさまざまな立体構造があるが、蛋白質はドメイン(モジュール)を基本単位として利用している。このため、良く似た構造を取っていても異なる機能を持つ場合もあるし、全く同じ機能を持っていても異なる構造を取ることがある。ドメインには主にαドメイン・βドメイン・α/βドメインがある。このようにドメインを基本単位として利用することで、例えば免疫グロブリンにおいて多様性を獲得することが可能になる。このことを考えれば、複数のドメインをもつタンパク質は複数の遺伝子が融合して出来上がったものと推定することができる。

     
     蛋白質の立体構造情報を知ることは、そのタンパク質を規定するDNAに関する情報やそのタンパク質の生体内での機能を知る手がかりとなる。これは新しい薬や医療の研究に大いに有効であると考えられる。
    立体構造の特徴
     タンパク質の主な働きとしては、生体内の化学反応の触媒(酵素)、生体内内の物質の運搬・貯蓄、筋肉の運動、骨格形成、免疫・生体防御、神経刺激の伝達、細胞成長の制御・分化などがある。1)で述べたように一次構造→二次構造→三次構造→四次構造と形成され、安定化されることで、タンパク質が立体構造をとることにより、このようにさまざまな機能を発揮し特定の役割を担うことができるのである。
     具体的には、立体的に位置した20種類のアミノ酸側鎖が様々な表面構造・電荷分布・極性を作ることによって個々のタンパク質が特徴的な機能を持つようになるし、分子内で形成されている水素結合や疎水性相互作用の破壊と再生成による柔軟性を利用することによって効率的に機能を発揮することができる。また、様々な相互作用(水素結合・疎水性相互作用・配位結合など)とそれにより形成される二次構造によって極めて安定な構造を形成できるため、骨格形態の維持が可能になるし、同種あるいは異種のタンパク質の相互作用により形成される複合体(四次構造)によって、上で述べたようなさまざまな生理機能を果たす。

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