相談援助の基盤と専門職

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    資料紹介

    『相談援助の基盤と専門職①』
    「相談援助の概念と範囲およびその理念についてのべなさい」

    資料の原本内容

    『相談援助の基盤と専門職①』
    「相談援助の概念と範囲およびその理念についてのべなさい」
     ソーシャルワークの定義として、代表的なものは、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)によるものであり、2000年7月27日モントリオールにおける総会において採択された。その内容は次の通りである。
    「ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパワーメントと解放を促していく。ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。」
     ソーシャルワークの定義には、他にもある。日本学術学会・第18期社会福祉・社会保障研究連絡委員会は、「ソーシャルワークが展開できる社会システムづくりへの提案」のなかで、以下の通り定義している。
     「ソーシャルワークとは、社会福祉援助のことであり、人々が生活していく上での問題を解決なり緩和することで、質の高い生活(QOL)を支援し、個人のウェルビーイングの状態を高めることを目指していくことである。日本では、国家資格である社会福祉士及び精神保健福祉士がソーシャルワーカーとして位置づけられている。 」
     この提言における問題意識としては、「近代市民社会は、国民の最低生活を保障し、国民生活の安定と社会の安寧・発展を図るために、社会のセーフティネットとしての社会保障制度を確立してきた。日本においても、社会保険や公的扶助といった所得保障制度を整備してきた。しかしながら、国民の自立生活を支援する対人援助としてのソーシャルワークは必ずしも十分に展開されてきたとは言いがたい」というものである。
     戦後長らく生活保護や社会福祉施設への入所といったサービスが行政責任により行われており、国民の自立生活を支援するソーシャルワークは十分に発展してこなかった。このような状況のなかで、1980年代後半以降、高齢者や障害者の地域での自立生活を支える多様な在宅福祉サービスが制度化されることにより、生活支援の考え方が変わってきた。そうした各種在宅福祉サービス制度の発展に伴い、住み慣れた地域社会の中で高齢者や障害者の自立生活を可能とするソーシャルワークが不可欠となってきた。その業務は、高齢者領域での在宅介護支援センター、障害者領域における地域生活支援事業、子どもや家庭領域における児童家庭支援センター事業などに拡大してきた。相談援助の対象範囲としては、高齢者、障害者、子ども、ひとり親、ホームレスといった様々な人々であり、幅広くなっている。
     相談援助の理念としては、彼らの人権を擁護し、生活問題を解決・緩和することで、生活を支援するというものである。一人ひとりの生活の違いを踏まえたサービスの提供と自立生活を支援するソーシャルワークが必要とされる。
     先の国際ソーシャルワーカー連盟の定義で示されているように、ソーシャルワーク専門職として身につける価値(何を優先するか)は、人権尊重と社会正義である。
     ソーシャルワークの理念(目指すべき方向性)としては、権利擁護、クライエントの尊厳と自己決定、エンパワーメント、ストレングス視点、ノーマライゼーション、社会的包括などである。

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