相談援助演習3

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    『相談援助演習3』
    「「バイスティックの原則」について述べなさい」

    資料の原本内容

    『相談援助演習3』
    「「バイスティックの原則」について述べなさい」
     バイスティックの原則は、アメリカ人のケースワーカーであるバイスティックが『ケースワークの原則』にて著した概念である。最も基本的なケースワークの作法として認識され、対人援助職者にとっての行動の基本原則である。これには、以下の7原則がある。①個別化、②意図的な感情表出、③統制された情緒的関与、④受容、⑤非審判的態度、⑥クライエントの自己決定、⑦秘密保持、である。
     バイスティックは、ケースワーカーとクライエントの良好な援助関係の形成が両者の間に生まれる態度と感情による力動的な相互作用と捉え、この関係の目的はクライエントの適応の過程を支援することにあるとした。
     クライエントの情緒や態度の基本的傾向は、心理・社会的な問題をかかえる彼らが共通にもっている人間としての基本的な7つのニーズから生じていると考えられる。それぞれのニーズは以下の通りである。
     ①個別化 クライエントは、ケースとしてあるいは典型例として、さらにある範疇に属する者として対応されることを望まない。彼らは、一人の個人として迎えられ、対応してほしいと望んでいる。
     ②意図的な感情表出 クライエントは、否定的な感情と肯定的な感情、そのどちらをも表現する必要性をもっている。これらの感情には、恐れ、不安、怒り、憎しみ、あるいは自分の権利が侵害されているという感情などが含まれる。また、これらとは逆の感情も含まれている。
     ③統制された情緒的関与 クライエントは、依存しなければならない状態に陥ったり、弱さや欠点をもっていたり、失敗を経験しているとしても、一人の価値ある人間として、あるいは生まれながらに尊厳をもつ人間として、受けとめられたいというニードをもっている。
     ④受容 クライエントは、彼らの感情表現に対して、ケースワーカーから共感的な理解と適切な反応を得たいと望んでいる。
     ⑤非審判的態度 クライエントは、彼らが陥っている困難に対して、ケースワーカーから一方的に非難されたり、叱責されたくはないと考えている。
     ⑥クライエントの自己決定 クライエントは、自分の人生に関する選択と決定を自ら行ないたいとするニードをもっている。彼らは、選択や決定を押しつけられたり、命令されたりすることを望まない。彼らは、命令されたいのではなく、援助を求めているのである。
     ⑦秘密保持 クライエントは、自分に関する内密の情報を、できるかぎり秘密のままで守りたいというニードをもっている。また、自分の評判を捨ててまで、社会福祉機関から援助を受けようとも思っていない。
     さて、ケースワーカーはバイスティックの7原則に沿った行動をしていかなければならない。7原則それぞれは特別に難しい内容ではない。しかし、これにそって相談援助を実施していくことはなかなか容易ではない。ケースワーカーによって、7原則のうち保持しやすいものは異なるであろう。それは、各人のパーソナリティや能力によっていると思う。
     自分自身で言うと、⑥クライエントの自己決定と⑦秘密保持は、遵守しやすいものである。②意図的な感情表出と④受容は、遵守が苦手なものである。これは、相談援助の場面のみならず、一般的な人間関係においても同様であると思われ、人生的な課題ともなろう。

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