低所得者に対する支援と生活保護制度

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    資料紹介

    『低所得者に対する支援と生活保護制度』
    「「自立支援プログラム」の意義とその実際について述べなさい」

    資料の原本内容

    『低所得者に対する支援と生活保護制度』
    「「自立支援プログラム」の意義とその実際について述べなさい」
     2003年に、社会保障審議会福祉部会に「生活保護制度のあり方に関する専門委員会」が設置され、生活保護制度に関する全面的な見直しの議論が行われた。そのなかで自立支援の考え方が提示され、自立支援プログラム実施の必要性が述べられた。
     「生活保護制度のあり方に関する専門委員会」の報告書で提言された自立支援プログラムとは、「被保護世帯と直接接している地方自治体が、被保護世帯の現状や地域の社会資源を踏まえ、自主性・独自性を生かして自立・就労支援のために活用すべき自立支援プログラムを策定し、これに基づいた支援を実施する」というものである。「具体的には、地方自治体が、地域の被保護世帯の抱える問題を把握した上で、自主性・独自性を生かして重層的かつ多様な支援メニューを整備し、被保護世帯の問題に応じた自立支援プログラムを策定」するものとされる。被保護世帯が抱える様々な問題に的確に対処し、これを解決するための「①多様な対応」、保護の長期化を防ぎ、被保護世帯の自立を容易にするための「②早期の対応」、担当職員個人の経験や努力に依存せず、効率的で一貫した組織的取組みを推進するための「③システム的な対応」の3点が求められる。
     ここでの「自立」の定義は、狭義の就労自立支援だけではなく、「被保護世帯が地域社会の一員として自立した生活を営むことができるようにするため、日常生活自立支援、社会生活自立支援の観点からのメニューも十分に整備する」としている 。自立に対するこの考え方は、生活保護法のコンメンタールである『生活保護法の解釈と運用』において述べられている内容によっている。それは、例えば重度の障害者や高齢者は、就職による自立の可能性がほぼないため、自立を経済的自立であると狭義に捉えると答えが出ないことになってしまうからである。このように、近年では、自立の意味を広く捉える傾向にある。
     厚生労働省は、経済的給付に加え、実施機関が組織的に生活保護受給世帯の自立を支援する制度に転換することを目的として、2005年度から自立支援プログラムの導入を推進していくこととした。国が自立支援プログラムの基本方針を定め、地方自治体がこれに基づき自立支援プログラムを策定・実施していくこととされた。「平成17年度における自立支援プログラムの基本方針について」、「自立支援プログラム導入のための手引きについて」という通達が発出された。
     すべての生活保護受給世帯は、自立に向けて克服すべき何らかの課題を抱えていると考えられ、また課題も多岐にわたるものと考えられる。このため、自立支援プログラムは、就労による経済的自立のためのプログラムのみならず、身体や精神の健康を回復・維持し自分の健康・生活管理を行うなど日常生活において自立した生活を送ること、社会的なつながりを回復・維持し地域社会の一員として充実した生活を送ることを目指すプログラムなども用意されている。
     自立支援プログラムの定着・充実を図るためには、ハローワーク等関係機関及び関連施策との連携を強化し実施機関に対して適切な助言指導を行うこと、自立支援に関する他法・他施策の情報提供を行うこと、モデルとなる地方自治体の取組みを支援しその成果を全国的に普及していくこと、補助金等により実施体制強化のための財政的な支援を行うことなど、実施機関への支援に努めることが必要と考えられる。
     自立支援プログラムの支援過程の流れは、一般的な相談援助過程と同様である。①インテーク、②アセスメント、③プランニング~エバリュエーション、④ターミネーション、という4つの過程から成る。

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