死から生を眺める演劇、夢幻能で読む『オセロー』

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    シェイクスピア作『オセロー』を夢幻能の様式で大胆に演出した公演の観劇所感をもとに、古からの日本人の感性に根ざしたシェイクスピア上演の新たな可能性についての発見を語る。能独自の時間感覚を取り入れることによって「悲劇」にもたらされた新たな表現様式。

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    死から生を眺める演劇、夢幻能の由来と未来
     夢幻能の主人公は、亡霊である。人生において、非常にインパクトのある体験をした人物の魂魄がこの世に留まっており、それが存命の人間であるワキの前に現れる。
     この手法によって表現されうる要素の一つは、人間の情念の永続性である。ある人物の生を、その死の数百年後から振り返るとき、「生の時間は極度に圧縮され、凝結する」。つまり、生から離れた地点に立って一人の人間を眺めることによって、人間の一生全体、あるいは運命そのものを一望に収める視野を獲得するということである。そうした位相変換によって、抽象化かつ集約化された情念が抽出されることとなる。そしてその情念が、シテがワキに自らの運命を語るその時点、あるいは私たちが夢幻能の上演を目の当たりにする時点まで脈々と存在し続けているということなのである。
     増田正造著『能の表現』に、次のような項がある。
    能の人物は、運命といかにさからい、いかに立ちむかうかではなくて、いかにいさぎよく耐えるか、悲しみをいかに純粋に美しくするかに専念しているようにみえる(……)これは日本人の性向でもある(……)勇将ピロクテテスのような鉄..

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