会社法:変態設立事項

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    資料紹介

    学部試験対策用。評価はありません。参考までに御覧ください。

    資料の原本内容

    株式会社の設立において、変態設立事項がある場合、会社法はどのように規制しているか述べなさい。
    一、変態設立事項は、会社の設立の際に必要となる定款の相対的記載事項である。変態設立事項は発起人の権限濫用の可能性が強く、これを放置すると会社の財産的基礎を害するおそれがあり、それによって、株式会社の財産的基盤を信用して取引に入る他の利害関係人を害することになるため、厳格な手段がなければ効力を生じないよう法で規定されている。変態設立事項に定められた内容は、定款に記載されなければ効力を生じず、裁判所の選任した検査役の検査を受けなければならない。また、調査の結果裁判所に不当と認められたときは変更しなければならない。
    二、変態設立事項の内容

      ①現物出資

      ②財産引受

      ③発起人の報酬・特別利益

      ④設立費用
     ①現物出資は、金銭以外の財産の出資である。現物出資は発起人だけが行うことができる。金銭出資はその金銭の価値が明確であるが、現物出資は金銭以外の出資であるため、その価値の評価は適正に行われなければならない。金銭出資をした他の株主を害することがないためである。
     ②財産引受けは、発起人が成立後の会社のためにする開業準備行為の一種でる。財産引受けは、現物出資に関する規制を潜脱する手段として用いられるおそれがあるとともに、財産が過大評価され、株式会社の財産的基礎を損なうおそれがある。
     ③発起人の報酬・特別利益は、発起人本人によって定款に記載されるため、発起人の権限の濫用を防止(お手盛り防止)するためである。
     ④設立費用は、会社設立後に会社が負担することされている。本来会社が当然に負担するものであるが、これを無制限に認めると、発起人の権限の濫用により、不当な支出による会社の財産基盤を害してしまうおそれがあるためである。よって、株式会社に損害を与えるおそれのないものは含まない。
    三、争点

     ②財産引受けに関する開業準備行為について問題となる。判例は、定款の定めのない財産引受を確定的に無効とし、成立後の会社による追認も認めないとする。

     それに対して、学説は、追認を認めないことは、相手方の契約からの離脱の自由を与えるだけで、かえって会社の利益保護にならないとし、実質的な弊害がなければ追認を認める見解が有力である。

     

     ④設立費用に関する発起人の債務は、成立後の会社の債務となるかという点について判例は、当該債権は当然に成立後の会社に帰属し、発起人は当該債務を負担しないとしている。しかし、債務が定款所定の金額を超えた場合、どの部分が会社に帰属するのかが問題となる。これについてはいくつかの学説が主張されている。

     (a)発起人の権限は、会社の設立それ自体を目的とする行為に限られると解する。よって、債務は発起人にとどまるが、株式会社に求償できるとする。

     (b)発起人の権限は会社設立のために事実上・経済上必要な行為に及ぶと解する。よって、債務は株式会社の債務となり、株式会社は発起人に求償できるとする。

     (c)発起人の権限は、会社設立事態に必要な行為にとどまらず、開業準備行為にも及ぶと解する。よって、債務は株式会社に帰属するが、発起人も債務を免れず、両者が鳥獣的にに責任を負うとする。

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