相談援助の理論と方法2

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    『相談援助の理論と方法2』
    「「ストレングスモデル」と「課題中心アプローチ」について述べなさい」

    資料の原本内容

    『相談援助の理論と方法2』
    「「ストレングスモデル」と「課題中心アプローチ」について述べなさい」
     ストレングスとは、生得的な才能・獲得した能力・スキルなど、潜在的能力のようなものを意味する。クライエントの病理・欠陥に焦点を当てるのではなく、ストレングスに焦点を当てることを強調することをストレングス視点という。
     ソーシャルワーク実践におけるストレングスへの着目は、1980年代後半より提唱され、サリーベイ・ラップにより研究が進められ、今日では主要概念の一つとなっている。
     ソーシャルワーカーが支援課題をとらえるとき、クライエントの「強さ」や「能力」に焦点を当てようとするモデルであり、「豊かな能力、活力、知恵、信念、確信、望み、成長、可能性、自然治癒力など現在から将来に至るまでの強さに着目し、それらを引き出し活用して問題を解決しようとする」支援観である。個人のみならず、グループや地域社会などのクライエント個人の外部環境の「強さ」にも着目していくことが期待されている。また、支援の際、ソーシャルワーカー自らのストレングスにも気づくことも重要である。
     旧来の治療モデルでは、クライエントを「対象」としてとらえ、病理や欠陥に着目し、問題の原因を特定しようとする。ストレングスモデルは、このモデルに対する批判から生成されたものである。ストレングスモデルでは、クライエントの強さを見出し、それを意味づけていくことを重視する。また、クライエントのナラティブが尊重され、主観性が強調される。これは、ポストモダニズムの思想潮流のなかで台頭してきた。
     ソーシャルワーク理論には、「状況を理解するための理論」と「実際に援助を行う理論」の2種類がある。前者は、「システム理論」や「エコロジカルアプローチ」などであり、後者は「課題中心アプローチ」や「問題解決アプローチ」などである。
     「問題解決アプローチ」は、1970年代、リードとエプスタインにより理論構築された。心理社会的アプローチや問題解決アプローチ、行動変容アプローチから影響を受け、確立していった。折衷アプローチであり、各アプローチの基盤となる理論を摂取している。
     最大の特徴は、短期処遇を明確に示していることにある。短期間の計画的な実践を志向し、この点において、アメリカン・プラグマティズムの影響を受けている。
     人には課題を達成する能力があるという考え方により、クライエントは多くの問題の中からいくつかのターゲットとしたい問題を選び,その問題の解決のために取り組むべき課題を設定する。クライエントが必要な助言や励ましを受けながら積極的に自分の問題を探究し、ターゲットをしぼり、課題を設定して計画を立て、ソーシャルワーカーや関係機関との間で契約をしたうえで、課題を遂行し、評価していくという過程を重視する。利用者が自分の問題に意識的に取り組むことが重要で、短期的に効果をあげたい場合に有効とされている。
     「問題解決アプローチ」において、取り組む問題を選び出す場合に,次の3つの視点が必要となる。①クライエントが認める問題を対象としなければならない。②対象となる問題はクライエント自身の努力によって解決できうるものでなければならない。③具体的な問題でなければならない。
     支援過程としては、以下の4ステップを取る。①第1ステップ-問題の明確化と選択、②第2ステップ-契約(目標を設定し、面接の回数や頻度・期間を合意し、動機づけを高める)、③第3ステップ-課題遂行、④第4ステップ-終結(評価により、課題の修正や契約の更新を検討する)。基本的に3~4か月間に、8~12回の面接を実施する。

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