低所得者に対する支援と生活保護制度

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    資料紹介

    低所得者に対する支援と生活保護制度
    「ホームレスの自立支援に関する制度、施策の特徴および内容について概説しなさい」

    資料の原本内容

    低所得者に対する支援と生活保護制度
    ③「ホームレスの自立支援に関する制度、施策の特徴および内容について概説しなさい」
     2002年8月に制定された「特別措置法」は、10年の時限立法で、施行後5年をめどに見直し検討が行われることになっており、ホームレスの自立の支援とホームレス化の予防のための生活上の支援等に関する国、地方公共団体の責務等を規定している。
     この特別措置法の規定に基づき、国においては2003年7月に「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」が定められた。これは、同年に実施された「全国調査」の結果をもとにまとめられたもので、ホームレス対策に関する国の基本的な考え方と基本方針である。
     大阪市では、この特別措置法に基づき、「大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画(平成16年度~平成20年度)」が2004年3月に策定され、これを軸としてホームレス対策が進められている。この計画では、「野宿生活者が自らの意思で安定した生活を営めるように支援すること」を基本的な考え方として、次の4つの基本目標が定められている。それは、①就業機会の確保が最も重要であり、併せて、安定した居住の場所の確保、保健及び医療の確保、生活に関する相談・指導等の総合的な自立支援策を推進する、②あいりん地域において、野宿生活にならないための予防と、野宿生活からの自立の支援を兼ね合わせた生活上の支援を行う、③野宿生活者の自立の支援等に関する施策を推進することにより、公共施設の適正な利用の回復を図る、④施策の実施にあたっては、基本的人権を尊重して、これをすすめる。というもので、もとより関係機関や団体等が連携して、円滑で効果的に事業を推進することが求められている。
     大阪市におけるホームレスの実数調査は、1998年8月に初めて行われ、その調査結果では、大阪市内のホームレス数は、8,660人であった。そして、2003年1月に「ホームレスの実態に関する全国調査」として、全国におけるホームレスの実数調査が初めて行われた。その調査結果では、大阪市内のホームレス数は6,603人で、全国の都市で最も多くホームレスが存在していた。第2回目の「全国調査」は、2007年1月に実施され、この調査結果では、大阪市内のホームレス数は4,069人で、前回の2003年の調査と比較して、2,534人(38.4%)の減少で、大阪市内のホームレス数は東京都23区の4,213人に次ぐものとなっている。
     大阪市内のホームレス数はこの数年減少しているが、なお多くのホームレスが存在する。ホームレスが多い要因としては、まず、あいりんの日雇労働者をはじめとする不安定就労層の存在があげられる。あいりんとは、大阪市西成区の東北端に位置する簡易宿泊所の密集地域のことで、かつて釜ヶ崎とも呼ばれ、わが国随一の寄せ場を形成している。近年、長期にわたる景気の後退と、産業構造の変化により、あいりんの寄せ場としての機能は低下している。それに加え、あいりんの日雇労働者の高齢化や、日雇労働者の主な受け皿であった建設業における機械化の進展によって、単純な作業が減少したことなどにより就労の機会を失い、ホームレスの増加につながったとされている。なお、2007年1月の「全国調査」では、大阪市内のホームレスのうち40.0%が、あいりんでの仕事探しの経験があると回答している。
     次に、大阪の雇用状況の悪さがホームレスの多さの一因となっていると考えられる。先の資料によると、2006年の大阪府の失業率は5.7%であり、全国平均4.1%を大きく上回っており、さらに大阪府の非正規雇用の割合は、24.2%(2002年度)で、全国平均の22.0%を上回っているとのことである。もとより不安定就労層は、景気後退による雇用状況の悪化や、高齢化・疾病による影響を受けやすい状況である。

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