取締役と第三者−商法266条ノ3

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    資料紹介

    不法行為特則説は、本条の責任を特別の不法行為責任と解し、よって本条の責任と一般の不法行為責任との競合を認めない。悪意又は重過失の対象を第三者に対する加害とし、それによって生じた直接損害についてのみ責任を負うとする説である(間接損害については代位権行使で対応するべき)。この説に従えば、取締役が第三者の損害について賠償責任を負う要件は、?「悪意又ハ重大ナル過失ハ」取締役の対外的関係に存することを要する。?不法行為についてのこの規定は、民法709条に対して特別規定の関係に立ち、同情の適用を排除するものである。?この規定はいわゆる「直接損害」についての取締役の責任に関するものであっていわゆる「間接損害」に関するものではない。?商法266条ノ312項は右のように、第三者に対し直接、不法行為によって損害を与えた取締役の責任に関するものである。そして、それ以外の取締役は同条2項にが定める要件が存するときに第三者に対して責めに任ずることになる。
    ?検討
    法定責任説と不法行為特則説の違いは、前提としている会社像の違いから生じるものである。法定責任説は、小規模閉鎖会社を念頭に置き、他方、不法行為特則説は商法が想定する大規模公開会社を念頭に置いている。日本の会社の99%が小規模閉鎖会社であるという現実と、本件設問のA会社もまた小規模な会社であることを鑑みると、判例多数意見の法定責任説を採らざるを得ない。

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    会社法Ⅰレポート
    取締役と第三者-商法266条ノ3
    問題)Yは訴外A会社の設立に際して、娘婿であるBから「絶対に迷惑はかけないから」といってA会社の取締役就任を依頼された。Yは名前だけということで、それを了承した。しかし、A会社はBのワンマン会社であり、Yの取締役就任に際し設立登記はなされたが、株主総会決議は行われていなかった。その後BはA会社の資金を回収の見込みがないのにC会社に貸し付け、その後Cが倒産したためその資金の回収が不可能となりA会社も倒産した。そのためA会社に500万円の債権を有していたXはYに対し損害賠償請求した。この場合のYの責任はどうか。
    1.序論
    2.商法266条ノ3の法的性質
    (1)判例=法定責任説
    (2)少数説=不法行為特則説
    3.表見的取締役の責任
    4.あてはめ
    1.YはBから名義上の取締役に就任することを依頼され、承諾し取締役となった。しかし、Yの取締役就任についての登記はなされたが、株主総会の決議を経ていなかった。その後、会社は融資先の倒産の影響を受けて倒産し、債権者は取締役として登記に記載されているYに対して、商法266条ノ3に基づく損害賠償の請求を...

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