聖徳大学 「道徳教育の研究」 第二課題(S評価) 作成文章&作成資料編

閲覧数1,962
ダウンロード数42
履歴確認

    • ページ数 : 10ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    道徳模擬授業における指導案作成をするという課題の授業案表です。
    体験談を用いたものなので参考程度にしかならないでしょうが、一応載せておきます。
    評価はS評価がもらえました。

    講評としては、
    ・指導案の書式は適切である。
    ・指導目標、内容、方法が確立されており、独自の視点など特に見るべきがある。
    ・とてもよく具体的に考えられていて、大変結構でした

    とのこと。
    正直、当初道徳の授業なんて想像もつかなかったのですが、良かったです。
    他に作成した指導案をアップロードしているので、閲覧の際はそちらと併せてご覧ください。

    資料の原本内容

    学習指導案
    〇〇中学校 〇年〇組(男子20名、女子20名)
    授業日時:平成〇〇年〇月〇日(〇曜)〇時限目
    授業者:○○○○
    主題名:「いじめや差別という『流行』を発生させないためには」
    行う時期:新クラス形成期。
    資料名:いじめ発生の事例、広い視野における差別の例、イノベーター理論、群集心理。
    ねらいとする価値内容:
      いじめや差別が「誰か悪い人」によって引き起こされる特別なことではなく、むしろ意識してそうならぬよう気をつけなければ自然とおこってしまうものであることを理解し、それを起こさぬためにはどうすればよいかを考え、その態度を身につける。
    主題設定の理由:
    (1)ねらいとする価値について
    1-(3)として、「自分自身で考え、決定し、行動し、その行為に責任を持てる」こと、2-(5)として「価値相対の立場にたち、多様な価値を認め、寛容できる」こと、3-(3)として「人は弱いが強く、醜いが気高く誇り高く生きることができる」こと、むしろ「弱いからこそ強く、醜いからこそ気高く、誇り高く生きようとする生き物である」こと、それらの上で、4-(3)として「『正義の尊重』、すなわち今回のテーマにおける、「それぞれがなすべき『正しいこと』を考え、その態度を身につける」ことを狙いとする。
    共に目標を持つ『仲間』という集まりは、一人ひとりでは達成できないような大きなことを為すことを可能とする。しかし、それがときに「群衆」となり、一人ひとりは思いもしていない方向へと全体が進んでしまうこともある。自らの思考を停止、無責任化させる「群衆心理」という概念を知り、1-(3)の「自分自身で考え、決定し、行動し、その行為に責任を持つ」ために、この「群衆心理」を振り払う必要があることを知る。また、イノベーター理論を参考にして、「流行」の形成過程における自らのスタンスを考える。その自分のスタンス=性質を踏まえた上で、「いじめ」という流行の発生を防ぐために、自らはいかなることに注意すべきかを考える。
    指導に当たっては「知らなければ防げない」こと、そして「知っていて初めて気をつけることができる」ということが数多くあること、「知識」「学習」、それを基に思考し、行動に移すことの大切さもあわせて伝えていきたい。
     (2)生徒の実態
      事例としては小学校6年生という卑近な事例から、しかし中学生として「かわいそうだから」などの情緒的な話だけでなく、人間という生物が内在的に持つ性質を理解し、その見地から思考させたい。
    また、事例としては教師自身の実体験を話すことで、教師である自分自身が抱える後悔、想い、またいじめ・差別といったものを、「一般的な悪いこと」としてではなく、教師自身の経験から出る「生きたことば」として伝え、それらを断固、看過するつもりがないことなども、はっきり伝える。クラスに対する牽制というよりは、そうすることで新クラスに対し「自分らしく振舞って大丈夫なんだ」という安心感を生ませたい。
     (3)資料について
      「『イノベーター理論』と『普及率16%の理論』」:元来はある新しい価値として生み出された(=イノベーションされた)商品やサービスが流行する、もしくは流行させるためには、という観点であるマーケティングに関する経済用語である。いじめには特定の生徒が行う、特定の生徒との軋轢によるものと、クラス全体に「なんとなく広がった雰囲気」がなすものがあるように思う。そして前者に比べ、後者の方が極めて厄介である。前者においては当事者の話を聞き、間に入り、相互理解を得るということができるが、後者の例が起こった場合、それは「雰囲気」であるがゆえに極めて難しいからだ。責任といっても、「皆が悪かった」ということで終始しがちである。個人同士の軋轢は、ある意味仕方のないものであるが、後者はそもそも学校として起こしてはいけないものだと考える。その「全体の雰囲気によるいじめ」はクラスという「市場」において、
    する側になることで、自らがターゲットにならないですむ
    自らを「上」と見ることによる自尊心の満足、もしくは「下」と思える存在による不満解消
    「共通の敵」の存在による、団結の強化
    などの欲求を満たすために発生する「流行」であることから、その「流行」の形成過程において、自分が「どの段階における存在なのか」を考え、その結果「では自分はどんなことに気をつけねばならないか」を考える素材として、以下の資料を用いる。
    事例:<ある小学校6年生クラスでおこった出来事>
    A君という子が一部の子たちに、「菌がうつるんだよ」「こっちくんなよ」など言われ始めた。(A君は持病で喘息をもっており、いつも咳をしていた。しかし当初はからかいや悪ふざけのようなもので、少なくとも「いじめている」という意識は本人達にはなかったはずである)
    A君はそれらに対し言い返していたが、次第に同調する者や、同調とはいかずともA君と距離をとる人は増えていった。特に「A菌」は流行し、A君に対して直接暴言を吐くような子は少数であるものの、距離が近くなると慌てて距離をとるような人が多くなっていった。(男女とわず。「うわ、今近かったんだけどwww!やばっ」みたいな感じ。)
    しかしそんな中、B君はとりわけ気にすることもなく、A君に誘われれば、よく一緒に遊んでいた。
    だがそのB君も多くの人が話している中、C君とDさんに「Aって絶対おかしいよね。Bちゃんもそう思わない?」と話を振られ、B君はその場の流れで考える前に「そうだね」と答えてしまった。
    以後はそのB君も、A君への罪悪感もあって、積極的にA君に対するいじめに加担するようなことはないものの、A君とは距離をとるようになり、一緒に遊ぶこともなくなった。(実は、B君はA君の最後の遊び友達であり、B君にまで距離を取られた結果、A君は完全にクラスで孤立することになった)そしてA君はやがて学校に来なくなり、そして転校したことが教師から告げられた。
    <人を残忍、無責任にするもの、「群衆心理」を知ろう!>
    【群集心理】の意味:(デジタル大辞泉、ブリタニカ国際大百科事典より。抜粋、要約。文章は平易にし、適宜補足してある))
    群集の中に生まれる特殊な心理状態。衝動的で興奮性が高まり、判断力や理性的思考が低下して付和雷同しやすくなる。
     集団には、ある事に対して同じような反応を示し、そこに漠然とした「一体感」がもたれる場合がある。そのような一体感を持つ集団を群衆というが、(略)群衆は①暗示に陥る(自分で考えられなくなる)、②残忍になり、熱狂する、③(周りがやっているということで「誰々がやった」という責任が薄くなり、)④無責任になる、という性質がしばしば現れることがある。
    <新しいものが「流行」する条件>=「イノベーター理論」
    イノベーター理論とは1962年に米・スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授が提唱した、商品・サービスへの購入態度を五つに分類したもの。つまり、「流行」が起こるまでの過程。
    「イノベーター」(Innovators:革新者): 冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人。市場全体の2.5%。
    「アーリーアダプター」(Early Adopters:初期採用者): 流行に敏感で、情報収集を自ら行い、新しいものを価値で判断する人。他の消費層への影響力が大きい。市場全体の13.5%。
    「アーリーマジョリティ」(Early Majority:前期追随者): 比較的慎重派な人。しかし平均よりは早くに新しいものを取り入れる。市場全体の34.0%。
    「レイトマジョリティ」(Late Majority:後期追随者): 比較的懐疑的な人。周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。市場全体の34.0%。
    「ラガード」(Laggards:遅滞者): 最も保守的な人。流行や世の中の動きに関心が薄い。伝統主義者とも訳される。市場全体の16.0%。
    2.普及率16%の論理
    イノベーターは少人数であり、重視するポイントが商品の新しさそのもので、商品の利益にはあまり注目していない。一方、アーリーアダプターは新しい利益に注目していて、他の消費者への影響力が大きいことから、新しい利益を自らのネットワークを通じて伝えてくれる。イノベーターとアーリーアダプターは合わせても市場全体16%しかないが、この2者まで普及すれば次のアーリーマジョリティ、レイトマジョリティへと広がる。このことから、「普及率16%の論理」といわれる。
    ※40人クラスであれば、イノベーターが1人、アーリーアダプターは5~6人、アーリーマジョリティが13~14人、レイトマジョリティが13~14人、ラガードが6~7人という計算。
    <先の例への「群衆心理」と「イノベータ理論」のあてはめ>
    A君は一部の子たちに、からかい半分で「菌がうつる」「こっちくんな」など言われ始めた。(これが「イノベーター」と「アーリーアダプター」に広まった段階)。
    A君はそれらに対し言い返していたが、次第にA君と距離をとる人は増えていった。「A菌」がクラスの多くへ流行した。(「アーリーマジョリティー」と「レイトマジョリティ」へ拡大した段階。「群集心理」がはたらくことで、多くの人が周囲に流されていく。)。
    しかしそんな中、B君はとりわけ気にすることもなく、A君に誘われ、よく一緒に遊んでいた。(B君は「ラガード」といえるだろう)
    しかしB君も何人かで話しているときに、C君とDさんに「Aって絶対おかしいよね。Bちゃんもそう思わない?」と話を振られ、B君はその場の流れで考えることなく「そうだね」と答え...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。