令状によらない逮捕・勾留

閲覧数2,488
ダウンロード数2
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    本問では、?緊急逮捕の合憲性、?17歳のYの了承にもとづく捜索の適法性、?逮捕に伴う捜索・差押えの時間的限界、場所的限界、物的限界、が問題となる。以下、順番に検討する。
    1(1)AはXを麻薬の不法所持の嫌疑で緊急逮捕するためにX宅へ赴いているが、そもそも緊急逮捕は憲法上許されるのか。憲法33条は、令状主義の例外を現行犯逮捕のみと規定したので、緊急逮捕が憲法33条に反しないかが問題となる。
     (2)判例は合憲とするが、実質的な理由は示していない。この点、憲法33条は、司法的抑制を働かせなくとも逮捕が人権侵害のおそれを有しないと思われる場合の例として、現行犯逮捕を挙げていると解することができる。したがって、これに準ずるほどの合理性があり、人権侵害の危険が少ない場合には令状主義の例外を認めることができると解する。したがって、緊急逮捕は令状主義の例外として合理性が認められる場合と考えられるので、憲法に違反しないと考える。
    この見解に対し、令状主義の本旨は強制処分前の事前抑制と処分執行時の令状主義の呈示にあるのに、緊急逮捕はそのいずれもみたしていない。現行犯逮捕の一種とするには、犯行時と逮捕時の時間的接着性がまったく要求されていないとして、現行法のままでは、合憲とは認め難い。
    (3)本件においては、X宅へ赴いた時点では、麻薬は発見されておらず、「充分な理由」を厳格に解すれば、嫌疑の充分性を欠く。よって、本件では緊急逮捕を認められない。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    令状によらない捜索・差押え
    【論点】
    Q:令状によらない捜索・差押えという令状主義の例外が設けられた根拠は?
    緊急処分説:220条は、逃亡の防止と証拠破壊の防止の必要性から設けられたものであるから、捜索・差押えは緊急事態に伴って行われることを要する。
    相当説:  220条は、逮捕現場における証拠存在の蓋然性から設けられたのであるから、緊急事態の要件は不要である。
    Q:220条の「逮捕する場合」とは、現に被疑者を逮捕する場合に限定されるのか、それとも逮捕が予定されていれば足りるのか。
      緊急処分説→現に被疑者を逮捕する状況の存在が必要となる。
      相当説  →証拠存在の蓋然性が認められれば足りるから緊急処分説のような限定なし。
      判例   →「逮捕との時間てき接着を必要としているけれども、逮捕着手時の前後関係は、これを問わないものとすべきものと解すべき」→逮捕が予定されていれば足りる。→少なくとも逮捕に着手したといえる状況が必要。
    Q:「逮捕の現場」とは、どの程度の空間的広がりをいうのか。
     
      緊急処分説→逮捕された被疑者の周辺に限定される。
            例)被疑者を居間で逮...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。