オウム真理教の事件が残したもの[早稲田・文学部・宗教学演習・評価A]

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    1.オウム真理教の特徴
     オウム真理教(以下、オウム)の特徴をもし一言で表すならば、やはりその極端な超越志向性ということになるであろう。彼らは「自己変容による解脱」という目標を掲げて、ひたすらオウム独自の修業階梯を上り詰めることを目指す。彼らにとって最も大切なのは、自分自身の修業がどこまで深まり、どこまで解脱に近づいていくかということなのである。入信動機の圧倒的多数を占めるのは、「『解脱』に至るプロセスがはっきりしていた。だから本物だと思った」というものである。
     地下鉄サリン事件(以下、サリン事件)の実行犯、林郁夫は、「釈迦の教えにしたがって、自分も解脱を遂げ、すべての生命や存在が幸せになることの手伝いをしたい」という気持ちから、「以来、私にとって『解脱』は強い希求となった」とし、「その肝心な『修業方法』」を求め、阿含宗管長の桐山靖雄の、「俺についてこい。解脱させるぞ」という言葉に「具体的修業法が登場した」と感じて、阿含宗への入会を決める。しかし、桐山の「私は死ぬ前には解脱できるだろう」という発言に、林はがっかりしてしまう。「桐山氏が『解脱』に至る修業法を体験から理解していて、それをグルとして実修させてくれて、『解脱』へ導いてくれる」と林は期待していたが、「桐山氏自身ですら『死ぬ前に解脱するかどうか』というのでは、『弟子たちの解脱』は、なおさら不確実」に思えてきてしまったというのである。
     林はそんな折り、麻原彰晃著の『生死を超える』という本に出会う。本に従って、ヨーガと呼吸法を実行してみたところ、「ある晩、寝込み際に、下腹部あたりで大きな爆発音がして、同時に『熱いもの』が腹部から背中を上昇していくのを感じ」た。林は「これはクンダリニーの覚醒だ」と思い、「オウムの修業は実効のあるものだった」と確信する。

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    オウム真理教の事件が残したもの
    1.オウム真理教の特徴
     オウム真理教(以下、オウム)の特徴をもし一言で表すならば、やはりその極端な超越志向性ということになるであろう。彼らは「自己変容による解脱」という目標を掲げて、ひたすらオウム独自の修業階梯を上り詰めることを目指す。彼らにとって最も大切なのは、自分自身の修業がどこまで深まり、どこまで解脱に近づいていくかということなのである。入信動機の圧倒的多数を占めるのは、「『解脱』に至るプロセスがはっきりしていた。だから本物だと思った」というものである。
     地下鉄サリン事件(以下、サリン事件)の実行犯、林郁夫は、「釈迦の教えにしたがって、自分も解脱を遂げ、すべての生命や存在が幸せになることの手伝いをしたい」という気持ちから、「以来、私にとって『解脱』は強い希求となった」とし、「その肝心な『修業方法』」を求め、阿含宗管長の桐山靖雄の、「俺についてこい。解脱させるぞ」という言葉に「具体的修業法が登場した」と感じて、阿含宗への入会を決める。しかし、桐山の「私は死ぬ前には解脱できるだろう」という発言に、林はがっかりしてしまう。「桐山氏が『解脱』に至る修業...

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