19世紀末の「限界革命」から20世紀までの諸経済理論について

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    資料紹介

     1870年代に起こった限界革命は、限界効用理論に基づく価値理論がジェヴォンズ、メンガー、ワルラスによりそれぞれ独自に、しかもほぼ同時期に展開され、近代経済学の基礎が築かれた。古典派経済学では、主に価値の源泉を労働に求める考え方に基づいて展開されていたが、ジェヴォンズらは価値を人間の欲望に求め、限界概念を用いて、特に交換社会における経済分析を行った。限界概念は様々な対象に適用可能で、限界効用のみならず、限界生産力理論も生まれ、企業の経済行動の分析にも大きく影響を及ぼした。
     この時代は、古典派経済学が想定した社会と現実の社会とのギャッブが顕著に見られるようになり、正統的な古典派経済学は衰退し、限界原理を主体とした限界効用学派が誕生した。限界理論は、農業生産物や工業生産物が豊富となり、それらの価格が安定する一方で、他方では賃金は上昇していくという時代背景をもって誕生した。
     限界革命は、それ以前の経済学と比較して、需要の分析や数学など新しい分析の道具を経済学に導入したものであり、これにより発見が容易になった限界原理やマクロ理論からミクロ理論への推移等がその特徴であった。この分析道具の多様化や経済学自体の変化等の原因によって、経済理論の内容が高度になり、限界革命は経済学という新しい学問の分野に、理論の内容的にも外見的にも大きな転換を与えたものであった。
     限界革命以降の経済学は新古典派経済学と呼ばれ、マーシャルを中心として発展していった。20世紀最初の4半期はマーシャルの時代とも呼ばれ、ほぼすべての経済理論の基礎が彼の理論の中に見出された。新古典派経済学の考えは自由放任主義であり、価格の調整速度が速いことを前提として理論を展開しており、共通して財の価格を市場における需要と供給との均衡によって決まるものと考えた。

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    19世紀末の「限界革命」から20世紀までの諸経済理論について述べる。
    1870年代に起こった限界革命は、限界効用理論に基づく価値理論がジェヴォンズ、メンガー、ワルラスによりそれぞれ独自に、しかもほぼ同時期に展開され、近代経済学の基礎が築かれた。古典派経済学では、主に価値の源泉を労働に求める考え方に基づいて展開されていたが、ジェヴォンズらは価値を人間の欲望に求め、限界概念を用いて、特に交換社会における経済分析を行った。限界概念は様々な対象に適用可能で、限界効用のみならず、限界生産力理論も生まれ、企業の経済行動の分析にも大きく影響を及ぼした。
    この時代は、古典派経済学が想定した社会と現実の社会とのギャッブが顕著に見られるようになり、正統的な古典派経済学は衰退し、限界原理を主体とした限界効用学派が誕生した。限界理論は、農業生産物や工業生産物が豊富となり、それらの価格が安定する一方で、他方では賃金は上昇していくという時代背景をもって誕生した。
    限界革命は、それ以前の経済学と比較して、需要の分析や数学など新しい分析の道具を経済学に導入したものであり、これにより発見が容易になった限界原理やマクロ理...

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    2006/08/07 12:37 (17年8ヶ月前)

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