債権者取消権と債権者代位権

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    資料紹介

    (本文)
     代位権が、債権者が債務者の権利を代わって行使するものであるのに対し、取消権は債権者が債務者のした財産処分行為を取り消し、その処分行為がなかったことにできるという権利である。代位権も取消権も、一般の債権者に許された債務者への財産処分への干渉なので、自己の債権を保全する限度でのみ許されている点に共通性がある。また、被保全債権の種類については原則金銭債権である点に共通性があるが、例外として、代位権について特定物債権についても代位権の転用が可能であることが、判例によって認められている。例えば、大判明43.7.6民録16巻537頁の登記請求権の代位行使や、最判昭29.9.24民集8巻9号1658頁の不動産の債権的利用権者による妨害排除請求権の代位行使などが挙げられる。
     次に、無資力要件についてである。無資力要件とは債務者が無資力であること、つまり、債務者の総財産が総債権者の債権を満足させるのに足りないことである。代位権では、権利を行使するためにはこの無資力要件が原則必要であるが、例外として転用の場合には債務者の資力とは無関係に代位権が行使されるべきであるので不要としている(最判昭49.11.29民集28巻8号1670頁)。ただ、金銭債権の保全の場合でも最判昭50.3.6民集29巻3号203頁の判例は例外的に無資力要件を不要とした。これに対し、取消権では詐害行為当時及び事実審の口頭弁論終結時に、債務者が無資力であることが必要になる(最判昭50.3.6民集29巻3号203頁)。また被保全債権の成立時期については、代位権については債権の成立前であることは不要であるのに対し、取消権においては、詐害行為前に債権が成立していることが必要である。債権の履行期が到来しているか、していないかは代位権においては、例外として裁判上の代位や保存行為を除いて、原則履行期にあることが必要であるのに対し、取消権においては、債権が詐害行為前に成立したものである以上は、履行期にあることは不要であると判例が示している(大判大9.12.27民録26輯2096頁)。

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    以下において債権者代位権(以下、代位権と略す)と債権者取消権(以下、取消権と略す)の共通点・相違点まとめ、効果面で共通する課題を指摘する。
    (本文)
    代位権が、債権者が債務者の権利を代わって行使するものであるのに対し、取消権は債権者が債務者のした財産処分行為を取り消し、その処分行為がなかったことにできるという権利である。代位権も取消権も、一般の債権者に許された債務者への財産処分への干渉なので、自己の債権を保全する限度でのみ許されている点に共通性がある。また、被保全債権の種類については原則金銭債権である点に共通性があるが、例外として、代位権について特定物債権についても代位権の転用が可能であることが、判例によって認められている。例えば、大判明43.7.6民録16巻537頁の登記請求権の代位行使や、最判昭29.9.24民集8巻9号1658頁の不動産の債権的利用権者による妨害排除請求権の代位行使などが挙げられる。
    次に、無資力要件についてである。無資力要件とは債務者が無資力であること、つまり、債務者の総財産が総債権者の債権を満足させるのに足りないことである。代位権では、権利を行使するためにはこ...

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