上田薫『戦後新教育の挑戦』を読む

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    資料紹介

    時代背景
     終戦後CIE(Civil Information and Education Section民間情報教育局、GHQの中の局)の指導のもとで教育の再編が進んでいる日本に、学徒出陣で派兵された戦地支那から帰って来た20代後半の上田が、文部省に入省し小学校の学習指導要領の作成に従事する中で、戦後日本に新しく設置された社会科における教育のあり方、それに携わる教師のあり方を模索。
     この本に収録されている論文が執筆された時期は、上田が作成に加わった学習指導要領が公布された昭和22年から、昭和26年の改訂案を練っている時期、その後文部省を離れ、各界からの社会科批判に反論している時期、のおよそ6年間に及び、日本の教育界が大きく動いている時期に執筆されたものであると思われる。上田の「新設社会科」へ込めた思いの一端がこの著作から読みとることができる。
     教育関係雑誌(ほとんどは教員向けの雑誌か?)に投稿されたものが収録されている。(「教育科学」「社会科教育」「ガイダンス」「613教室」「教材研究」「小三教育技術」「教育技術」「学級経営」「信濃教育」など)そのためなのか、読み手(教師)を意識したかたちで、具体的な社会科学習指導のところまで踏み込んでいる。また、例によって比喩を多用した平易な表現の難解な文章である。
     文部省は昭和30年代頃から「経験主義から系統主義へ」と教育政策の路線変更を始めたことはよく言われている。上田はそのような文部省の政策転換に反発して昭和33年に「社会科の初志をつらぬく会」を発足した。上田は「不勉強なのか、生来不敏なのか、わたくしの思想には驚くほど変化がない」(p127「(上田薫社会科教育著作集の)刊行にあたって」昭和53年)と述べているように、上田の戦後日本の社会科教育へ込めた思いは「つらぬく会」によって現在に受け継がれている。

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    上田薫 8 戦後新教育の挑戦
    時代背景
    終戦後CIE(Civil Information and Education Section民間情報教育局、GHQの中の局)の指導のもとで教育の再編が進んでいる日本に、学徒出陣で派兵された戦地支那から帰って来た20代後半の上田が、文部省に入省し小学校の学習指導要領の作成に従事する中で、戦後日本に新しく設置された社会科における教育のあり方、それに携わる教師のあり方を模索。
    この本に収録されている論文が執筆された時期は、上田が作成に加わった学習指導要領が公布された昭和22年から、昭和26年の改訂案を練っている時期、その後文部省を離れ、各界からの社会科批判に反論している時期、のおよそ6年間に及び、日本の教育界が大きく動いている時期に執筆されたものであると思われる。上田の「新設社会科」へ込めた思いの一端がこの著作から読みとることができる。
    教育関係雑誌(ほとんどは教員向けの雑誌か?)に投稿されたものが収録されている。(「教育科学」「社会科教育」「ガイダンス」「613教室」「教材研究」「小三教育技術」「教育技術」「学級経営」「信濃教育」など)そのためなのか...

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