民事訴訟法 ダメ答案2 既判力基準事後の形成権行使

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    民事訴訟法第2部 答案2
     判決が確定すると、主文中の判断に既判力が生じる(114条1項)。既判力とは、基準時における訴訟物の存否を確認する効力である。既判力の基準時は口頭弁論終結時である。前訴の口頭弁論終結時前に存していた事由に基づいて後訴を提起することは原則許されない。
     本問においては、前訴における口頭弁論終結前の事由に基づく形成権を行使して後訴を提起できるかが問題となる。
    問1について
     問1では、取消権に基づいて請求異議の訴えができるかが問題となる。思うに、取消権は請求権自体に付着する瑕疵であり、前訴の口頭弁論中いつでも行使することができる。よって、取消権に基づいて後訴を提起することは許されない。
     本問でYが詐欺取消しの意思表示(民96条1項)をしており、取消権に基づく請求異議の訴えを提起しているが、上記の理由により請求異議の訴えは許されない。また、判決確定後にシスレーの風景画が贋物であるという取消事由が判明していることから、Yの手続保障がなされておらず、後訴を認めるべきに思えなくもない。しかし、風景画の鑑定等は通常前訴の間に行うべきであったのであり、それをしなかったYには帰責事由があるといえる。よって、Yの手続保障がなされていないとは言えず、やはり後訴は認められない。
     問2について
    (1)
    問2では相殺権の行使が問題となる。
     思うに、取消権は請求権自体の瑕疵であったのに対し、相殺権は弁済の一手段であると位置づけられる。よって、基準事後の相殺権行使は既判力によって遮断されない。
     本問では、Yが相殺を請求異議の原因として訴えを提起しているが、その訴えは許されることになる
    (2)
     では、前訴被告が前訴の口頭弁論で相殺の抗弁を数回提出したが、その度にそれを撤回したという事実がある場合にも後訴における相殺権の行使は既判力によって遮断されないか。
     前訴において、口頭弁論の中で相殺の抗弁を数回も撤回する行為は、適時提出主義(156条)の制約を除き口頭弁論一体性の原則から許容される。しかし、後訴における相殺権の行使は矛盾挙動であり、信義誠実の原則に反し許されない。
     YがX提起の前訴において相殺の抗弁を3度提出したが、その度に撤回したという事実がある場合、後に相殺権を後訴で主張することは信義則に反し許されない。
     問3について
     問3は後訴における無効の主張が問題となっている。問1・問2は形成権の行使が既判力によって後訴で遮断されるかが問題とされ、形成権の行使を新事由ととらえるかどうかが問題の焦点となっていた。それに対し、無効は法律行為の瑕疵の中でも、取消権が付与されるような場合よりも重大な瑕疵があるときに、その法律行為の効力を始めからなかったものにするものである。そのため、形成権のように事後的に行使するといったことは観念されない。よって、前訴被告は法律行為の無効を理由に後訴を提起することは許されない。
     したがって、Yは後訴として代金再建不存在確認の訴えを提起することはできない。
                                        以上
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    コメント1件

    lawyer-business 販売
    どこがいけないのか指摘していただけると幸いです。
    2009/02/01 17:03 (15年1ヶ月前)

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