世界の相撲

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    資料紹介

    相撲とは、素手組み討ち格闘技のことで、もっぱら投げることによって相手を倒すのを競うスポーツである。相撲は、数多くある人類の格闘技の中でも最も古いものの代表格であり、地域と人類文化史上の段階を問わず、地球上の多くの民族によっておこなわれている。日本人の意識では、相撲に土俵はつきものであるが、日本の相撲に土俵が現れるのは江戸時代以降のことであり、それ以前は土俵なしで相撲はとられていた。そして、世界でおこなわれている相撲もまた土俵をもたない。

     相撲のルールは実に多様である。たいていは立ち技で勝負を決するが、はじめる姿勢、身体のどの部位をとって組み合うか、そして、どの部位を地につければ勝ちとなるのかといった点については統一がみられない。相撲をとる機会・目的についても、日常の娯楽や競技会のみならず、新年祭、収穫祭、客人の歓迎、出産祝、成人式(割礼)、葬式、など多岐にわたり、善悪の判断のために神明裁判としての相撲もおこなわれている。また、男だけに限らず、女同士の対戦もあり、男と女が相撲をとるところもある。こうした男女対抗の相撲の意味は優劣を競うことではなく、性が象徴的結合をはたすことによって豊穣を確かなものする、といった観念が背景にあると考えられる。

     このように、相撲は世界の民族がそれぞれの伝統的文化・生活のなかで培ってきたスポーツであり、だからこそ民族のアイデンティティ形成には抜群の威力を発揮するといえよう。

    資料の原本内容

    世界各地の相撲
    国・地域、民族
    アジア

    1/6

    相撲の名称

    期日・意義・特色

    アゼルバイシャン
    アフガニスタン
    アルメニア

    ギュレシュ
    コシティ
    コホ

    ラウンド制、寝技あり
    ターバンをマワシとして巻き、持久戦で戦う
    音楽伴奏付き

    イラン

    コシュティ

    ズールハネ(=「力の家」男子身体訓練場)のなかで行う。イスラム教シーア派のアイ
    デンティティ形成文化といえる

    バラティヤ・クシュティ

    多くの相撲部屋があり、徹底した禁欲生活をおくっている

    インド

    インドネシア

    山岳地帯のナガランドに住むナガ キュケペ(キュカ・アンプー、リュピング)
    系諸族
    キボ、ケンネー

    結婚式にて花嫁家側と花婿家側の対抗で行われ、いずれが長生きするか、または子
    どもは多いか少ないかが占われる。死者祭として行う所もある

    マニプール州のメイテイ族

    王の前で行われる相撲では、勝者は王に敬意を表するために、跳び上がり空中で右
    の尻を叩いて大きな音を出した

    アッサム高原に住むカシ族

    互いに指を取り合い、その状態で押し合い相手を倒す。そのまま持ち上げても勝ち

    アンダマン島
    アンボン島、ウリアッサ島

    アドレンガ
    パナエ・ムリン

    子ども達がしばしば砂浜で行う
    子ども達だけが行う

    サブ島

    ペルラエ

    胴体だけを布で覆って対戦する。相手をつかまえると力の限り振り回し、地に投げよう
    とする

    シウー諸島
    ジャワ島のアローン
    スマトラ島のアチェー族
    スマトラ島のバタク族

    ムダリア
    グルカン(ジャグウィアン)
    メウルホ

    セラウェシ島

    男達だけの競技。互いに組み合ってからはじまる
    四節句の行事
    子ども達が好んで行う
    部族祖先に牛を供犠する祭りで行われ、卜占の意味をもつ

    ブギ族 スヤガポワング(マティケング)
    マカッサル族 シタパサング

    ニアス島
    ニコバル島

    男達によって精霊の前で行われる

    ボルネオ島のバハウ族、ケンヤ族 パジョウ

    若者が新年祭に相撲をとる。腰帯だけをまとい、相手の腰帯の後ろをつかんで組み合
    い、相手を持ち上げて背中をつかせると勝ち

    メンタウェ島

    パラバ
    クラッシュ
    ラッタジュ
    カザクシアクレス

    子ども達が行う

    韓国・北朝鮮

    シルム(左シルム、右シルム
    帯シルム、パ・シルム)

    サッパ(布帯)の巻き方によって4種類に分けられる。韓国では左シルムが最も普及し
    ており、プロ・シルムもこのスタイル

    グルジア

    チタオバ

    袖の短い柔道衣のような上衣、短いパンツ、レスリングシューズを履いて行う

    ウズベキスタン
    オマーン
    カザフスタン

    シベリア地域
    タイ

    チュクチ族

    神明裁判としても行われた

    ヤクート族

    春に牛の多産を祈念する祭で行う。相撲は冬と夏の戦いを意味する
    チョンガイ
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    世界各地の相撲
    国・地域、民族
    アミ族
    アジア

    台湾

    相撲の名称
    オロツ

    タジキスタン
    タタールスタン共和国

    マリウリウス、マルブルブ、マルフルフ
    カウ
    クレス
    シュワイジャオ

    夏の粟の収穫祭で行う。女性は公然と見ることを許されず、隠れて見物した

    粟収穫祭の行事
    粟の収穫祭などで行う。日本の相撲に極めて類似している

    袖の短い柔道衣のような上衣、短いパンツ、レスリングシューズを履いて行う。体重
    別、ポイント制
    夏の松明祭で行う。互いの腰帯をしっかりと持ち、両肩を着けるように投げると勝ち。
    足をとることは禁止

    イ族

    中国

    期日・意義・特色
    もめごとが起きたとき、相撲などの勝者を正者とする神明裁判の制度があり、特に姦
    通の際には相撲で決められた。真に姦通した者には、神霊が味方せず決して勝てな
    いとされた

    サイシャット族
    パイワン族
    プユマ族

    2/6

    朝鮮族

    パ・シルム

    サッパ(布帯)の巻き方、そして組み方が他のシルムとは大きく異なる

    トン族

    バンジャオ

    旧暦2月15日、3月15日が相撲節。村を襲った虎を英雄が退治した故事による。帯の
    両端をつかみ、それを相手の腰にまわしてマワシの役目をさせる

    プイ族
    モンゴル族

    闘牛の様子を真似て頭と頭を突き合わせ、「モーモー」と声を掛けながらて行う
    ブフ(ウジュムチン・ブフ)

    ハニ族、ワ族、プニ族、トールン
    族、チャン族、チベット族、ウイグル
    族、回族、満州族

    上半身に皮製の半袖のチョッキを、下半身にはだぶだぶの白いズボンとにブーツを履
    く。日本では一般的に「モンゴル相撲」と呼ばれる
    中国西南の少数民族では、はじめにがっぷりと組み合い、のちに相撲をとるルールが
    発達。ルールの細部は異なる

    4年ごとに開催される「全国少数民族伝統体育運動会」では、モンゴル族式、チベット族式、イ族式、ウイグル族式、回族・満州族式が採用されている
    トルコ

    ヤール・ギュレッシュ

    革ズボン着用、裸身に油を塗る。寝技あり。毎年夏にエデルネで全国大会が開催され


    カラコジャック

    革ズボン着用、裸身に油を塗る。寝技あり。音楽伴奏付き

    8世紀前半~12世紀末:「相撲節」旧暦7月7日に天皇が諸国から力士(相撲人)を召し出して行う,一大年中行事であった。相撲の
    場は小宇宙を象徴
    中世~:武士が戦場組み討ちの練習として相撲に親しんだ
    近世:「勧進相撲」寺社は勧進のために相撲興行に着手、大坂、京都、江戸において幕府公認のビジネスとして定着し、今日の大
    相撲に及んでいる

    日本

    今日では民俗行事として各地に相撲神事、芸能・儀礼相撲、祭礼相撲がみられる
    柔術諸派、古武道
    沖縄
    パキスタン
    ベトナム

    シマ(沖縄角力)
    コシティ

    パターン族
    ドウ・バット

    柔道衣を着て、四つに組んだ姿勢から始まる。朝鮮の帯シルムに類似。夏に各地で
    盛んに大会が開かれる
    インド相撲と同じであるが、精神性を伴わない
    上半身裸でケンケン相撲を行うが、技は強烈
    年4場所開催される

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    世界各地の相撲
    国・地域、民族

    3/6

    相撲の名称

    期日・意義・特色

    ミャンマー

    ラケール族

    アピアパ

    日常的ではなく、結婚式や他村から若者が来たときに行われる

    モンゴル国

    モンゴル族

    ブフ(ハルハ・ブフ)

    革命記念日に開催されるナーダムの大人気種目。長袖のチョッキのような上衣と短い
    パンツ、ブーツを履く。入場の舞「鷹の舞」。強豪選手は国民的英雄として尊敬を集め
    る。日本では一般的に「モンゴル相撲」と呼ばれる

    アボリジニー 北東海岸部に住む
    ドナマン(アルンガ)
    部族

    片方が攻撃、片方が防御と役割を分化させている。両手を上げたままの防御者を、攻
    撃者は腰に両手をまわし持ち上げ投げれば勝ちとなる。成人式(割礼)に行う

    ニュー・サウス・ウェールズ州の
    ユーフライに住む部族

    ゴームブーブードゥー

    割礼のときに氏族が対抗して行う

    ドパップ(ブルトン)
    ハンキン
    ブノ
    ウン・ウノング

    体に油を塗る。夏に親戚関係の氏族が集まった時に行う
    勝負の前に予め組み方や用いる技を決める。神明裁判でもあった
    ケンケン相撲。寝て行う足相撲もあった
    組み合った姿勢からはじめる
    村と村の紛争の際に問題処理として行われた

    サモア

    ファレガセ
    (タウファナトゥガ、ファンガトゥアンガ)

    裸身に油を塗る。投げがとても強いため、頻繁に事故が起きたという。葬式の時に行う
    競技の一つ

    トンガ

    ファンガツァ

    ヤムイモの収穫予祝祭、客人歓迎式、死者祭、タブーを解く儀式などに際して、また神
    明裁判としても行う。女相撲もあるが、基本的には男のスポーツ

    ニューギニアのマオリ族

    ママウ

    死者祭に行う。ふつうは男と男が対戦するが、1人の男に2人の女がかかる相撲もあ


    ニュージーランド

    ワトト

    女もときどき加わる

    ハワイ

    ハコーフ

    マカヒキ(新年祭)の定番種目。戦闘訓練としても。組み相撲と組み手争いをする立ち
    合い相撲が行われた

    アジア

    オセアニア
    オーストラリア

    ビクトリア州のムーレイに住む部族
    ルソン島のイフガオ族
    フィリピン

    ポリネシア

    ミクロネシア

    マリンドゥケ島のタガログ族
    ボントック族

    エリス諸島
    トゥアモトゥ諸島
    ニウィ島
    フツナ島
    マルケサス諸島
    ロツマ島
    ギルバート諸島

    相手の胸を三度叩くことが相撲挑戦の合図

    カウンラバタ

    クサエ島

    アセバル

    ナウル島
    ナモルク島
    ヌクオロ島
    ペラウ島
    ポナペ島
    ヤップ島、マリアナ諸島

    エアカバレレ
    アウラス
    テタウタウ
    カイドボドボグ
    パトル

    ファガトゥア(ファト)
    タウファガトゥア
    ワトト

    死者を埋葬した後で、死者を讃えるために行う
    機を見て突然飛びかかりはじまる
    右手で相手の髪の毛を掴んで引き寄せ、足をかけるなどして押し倒す。王の命令で大
    規模な対抗戦もあった
    子供が生まれた機会に相撲をとる。女相撲もある。村と村の対抗戦も行われた
    戦に備えて体を鍛えるために行う

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    世界各地の相撲
    国・地域、民族
    フィジー
    オセアニア

    メラネシア
    旧英領ニューギニアのモツモツ
    トレス海峡の西部諸島

    南北アメリカ

    アメリカ
    カナダ

    南西部に住むナバホ族
    イヌイット
    南米最南端のティエラ・デル・フェ
    ゴ島に住むヤーガン族

    アルゼンチン...

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