国連はいかにすれば機能できるか
第6 回 公共選択学会「学生の集い」
2003 年11 月23-24 日(青山学院大学)
国連はいかにすれば機能できるか
〜国連、地球環境をとりもどす一歩のために〜
東北文化学園大学 総合政策学部 鷲見ゼミ 環境政策パート
メンバー 青木 聖 安孫子 健一 泉 大輔 小甲 真子 高橋 宗太
湯本 雅浩
目次
はじめに........................................................................................................2
1 国連はいかにすれば機能できるか..............................................................3
国連はなぜ地球規模問題に対応できないのか........................................3
地球規模問題はいかに深刻か...............................................................4
国連システムはこうあるべきだ............................................................7
2 国連は紛争・テロ問題にいかに取り組むべきか........................................ 10
これまでの国連の紛争・テロへの取り組み......................................... 10
国連の紛争・テロ対策は何が問題だったのか? .................................. 13
紛争・テロ問題の解決策はこれだ...................................................... 15
事前対策..................................................................................... 16
事後対策..................................................................................... 17
テロリスト対策........................................................................... 18
国連は地球温暖化問題にいかに取り組むべきか........................................ 20
これまでの国連の地球温暖化への取り組み......................................... 20
国連の地球温暖化対策は何が問題だったのか? .................................. 23
地球温暖化問題の解決策はこれだ...................................................... 25
削減目標の義務化........................................................................ 25
目標未達成に対して評判効果を狙う....................
国連はいかにすれば機能できるか
第6 回 公共選択学会「学生の集い」
2003 年11 月23-24 日(青山学院大学)
国連はいかにすれば機能できるか
〜国連、地球環境をとりもどす一歩のために〜
東北文化学園大学 総合政策学部 鷲見ゼミ 環境政策パート
メンバー 青木 聖 安孫子 健一 泉 大輔 小甲 真子 高橋 宗太
湯本 雅浩
目次
はじめに........................................................................................................2
1 国連はいかにすれば機能できるか..............................................................3
国連はなぜ地球規模問題に対応できないのか........................................3
地球規模問題はいかに深刻か...............................................................4
国連システムはこうあるべきだ............................................................7
2 国連は紛争・テロ問題にいかに取り組むべきか........................................ 10
これまでの国連の紛争・テロへの取り組み......................................... 10
国連の紛争・テロ対策は何が問題だったのか? .................................. 13
紛争・テロ問題の解決策はこれだ...................................................... 15
事前対策..................................................................................... 16
事後対策..................................................................................... 17
テロリスト対策........................................................................... 18
国連は地球温暖化問題にいかに取り組むべきか........................................ 20
これまでの国連の地球温暖化への取り組み......................................... 20
国連の地球温暖化対策は何が問題だったのか? .................................. 23
地球温暖化問題の解決策はこれだ...................................................... 25
削減目標の義務化........................................................................ 25
目標未達成に対して評判効果を狙う............................................. 26
批准しない国への対策は政権交代を狙うことだ............................ 27
おわりに...................................................................................................... 28
参考文献...................................................................................................... 29
補足資料...................................................................................................... 30
はじめに
現在、地球上には未解決の問題が山積している。地球規模問題のなかで最も重要な1 つは、戦争や紛争・テロ問題である。戦争や紛争の歴史は長く、悲しみと暴力の連鎖を生みその凄惨な現状を国際社会は強く認識しているはずである。
しかし、今日では、戦争・紛争やさらにそれに発展する可能性のあるものが300にも上るといわれている。また戦争・紛争は、多くの難民を発生させるなどの悪影響をもたらしている。さらに、今日ではグローバル化したテロ問題が取り組むべき緊急の課題となっている。
もう1 つの重要なものは地球温暖化問題である。科学者が温室効果の存在に気づいてから既に100 年以上経つ。しかしその間に有効な手段が見つからず、地球温暖化が原因で2100 年までに地球大気温度が1℃〜3.5℃上昇すると予測されている。これらの問題に対して早急な対策を講じなければさらに問題を増大させてしまうことになりかねない。
こうした事実は、国連がこれらの地球規模問題にうまく対応できていないことを証明している。しかし、現実の地球規模問題は国連の対応の数倍のスピードで進行している。地球規模問題に対して、巨大で機動性を欠いた国連システムがうまく対応しようとしてもそもそも限界がある。こうした「スピードの限界」を克服するには、地球規模問題のスピードに対し、国連の対応のスピードを上げるような改革を行っていかなければならない。
私達は論文を通じて、世界の平和や安全を掲げる国連が、なぜこうした地球規模問題に対応できないのかを明確にする。そして、どうすれば地球規模問題に対して国連システムが有効に機能することが可能なのかを提案する。
本論文の構成は次の通りになっている。
1 章では、国連が地球規模問題解決の機能を果たしていない理由として、現在の国連には「スピードの限界」、「強制力の限界」という2 つの限界があることを指摘する。さらに、国連がこれらの問題解決に向けて機能していくための新しい国連のあり方を提案する。
2 章では、地球規模問題のなかで極めて重要な問題の1 つである紛争・テロ問題を取り上げ、私達が提案した新しい国連システムが、この問題にどう対応していくか具体的に示していく。
3 章では、地球温暖化問題を取り上げ、私達が提案した新しい国連システムが、この問題にどう対応していくか具体的に示していく。
1 国連はいかにすれば機能できるか
地球上には紛争・テロ、貧困、人権、環境といった未解決の問題が山積している。この事実は、国連がこれらの地球規模問題にうまく対応できていないことを証明している。ここでは、なぜ国連が地球規模問題に対応できないのか、主な原因を指摘するとともに、地球規模問題に対してどうすれば機能するか、国連をいかに改革すべきかについて提案する。
そこで、1-1 では国連が地球規模問題解決の機能を果たしていない理由として、現在の国連には2 つの限界があることを指摘する。1-2 では紛争と温暖化問題の現状を取り上げ、国連がこれらの地球規模問題にうまく対応できていないことを証明する。1-3 では、国連がこれらの問題解決に向けて機能していくための新しい国連のあり方を提案する。
1-1 国連はなぜ地球規模問題に対応できないのか
ここでは、なぜ国連が地球規模問題に対応できないのか、その原因を指摘する。それは、国連が2 つの限界を抱えているためである。
第1 に、国連が地球規模問題にうまく対応できていないのは、国連システムそのものに問題があるためである。地球規模問題の進行は国連の対応の数倍のスピードで起こっている。進行が早い地球規模問題に対して、巨大で機動性を欠いた国連システムがうまく対応しようとしても限界がある。これを「スピードの限界」と呼ぼう。
地球規模問題はいかに深刻か
ここでは、戦争と紛争、地球温暖化の現状を取り上げ、国連がこれらの地球規模問題を解決しなければ、それらがいかに深刻な問題をもたらすのかを明らかにしていく。
戦争と紛争の実態
まず、戦争と紛争の実態を見ていこう。図1-3 は1970 年から02 年に起こった戦争と紛争の発生件数を示したグラフである。図より、70 年から85 年の期間は約30〜40 件程度だったが、90 年以降は10 件以上も増加している。さらに、「新たな暴力を生み出す恐れのある状態で、監視が難しい『政治的緊張状態』は300 件余り存在する」というPIOOM1による報告もある。これは図1-3 に含まれていないため、上乗せした場合を考えると、戦争と紛争の発生件数は桁違いに増えてくることになる。
今日では、国連が誕生してから50 年近く経過しているが、戦争と紛争は世界から一向に減っていない。この事実は国連が唱える「世界平和」という目的を達成できていないことを証明している。また、紛争やテロが頻繁に発生2している事実は、国連の問題解決能力に重大な限界があることを示唆している。
地球温暖化による環境被害
地球規模...