現行離婚法について

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    資料紹介

    「現行離婚法について」
    1.離婚法の問題点
    婚姻の解消には、一方の死亡による解消と離婚による解消がある。さらに離婚には協議離婚と裁判離婚が存在する。そして、離婚は婚姻のような事実婚(内縁関係)と異なり、婚姻関係の事実上の解消ではなく届出と受理によって成立するため、当事者の意思をどこまで認めるのか(意思の範囲)が問題となるであろう。さらには、離婚に伴う当事者間の財産分与と経済的な保障、そして、子供がいる場合には子の監護権・養育費の問題が出てくるであろう。よって、整理すると以下の3つの問題点となる。
    離婚に対する当事者の意思
    財産分与と経済的保障
    子の監護権・養育費
    以下、協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚のそれぞれについて検討を行うこととする。
    2.協議離婚
    協議離婚の根拠は民法763条の「夫婦は、その協議で、離婚することができる。」による。よって、協議離婚は当事者間に婚姻解消の意思の合致があることが前提となる。そして、双方の意思の合致がある場合は②財産分与と経済的保障・③子の監護権・養育費についても意思の合致があると考えるのが当然である。しかし、実際は離婚給付や養育費の公平な配分・不払いに対する処置などに対する制度が整っておらず、このような点の改善が必要であると考える。
    もう一つの問題は、一方が相手方の意思に反して届出を出した場合であろう。離婚は届出と受理によって成立するが、婚姻のように無効の条文が存在しない、よってこのような場合は民法742条を類推適用して、当事者の意思に反した離婚は無効とすべきである。また、政策上も意思の合致の無き離婚を防止するために、離婚届出不受理申出制度を設けている。判例は最判昭和57年3月26日判時1041・66にて離婚には形式的意思主義をとっているが、この場合にも意思の合致は必要条件であることはいうまでもなく、現在では解決可能な問題であろう。
    3.調停離婚
    調停離婚は、相手が離婚に同意しない場合、婚姻の解消には同意していても財産分与や子の監護の内容に合意していない場合に、家庭裁判所にて「調停」を行い離婚を行うことである。調停離婚にて離婚が成立するということは、最終的には当事者間に意思の合致があったということである。そうであるなら、やはり、離婚とは当事者の意思範囲の問題であり、問題点で挙げた②財産分与と経済的保障・③子の監護権・養育費も意思の範囲に含まれると考えるのが自然であろう。そして、この2点が課題となる。
    4.審判離婚
    審判離婚は調停離婚が成立しない場合でも、当事者間で基本的な部分で合意はしているが、詳細部にて意見の食い違いがあるような場合に、裁判所が当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で離婚の審判を行う制度である。これは、婚姻の解消自体には合意しているが、財産分与や子の監護権にて細かい対立があるときであろう。(感情的な対立にて当事者も不合理とは認識していても譲れないような場合が想定される。)やはり、ここでも、②財産分与と経済的保障・③子の監護権・養育費が問題となる。
    5.裁判離婚
    調停や審判でも離婚が成立しなかった場合には裁判による離婚となる。これは一方の意思によって強制的に離婚を行うのであるから正当な「離婚原因」が必要である。その理由は民法770条にて規定されている。そして、民法770条1項は離婚の原因として以下の項目を挙げている。
    配偶者に不貞な行為があつたとき
    配偶者から悪意で遺棄されたとき
    配偶者の生死が3年以上明かでないとき
    配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    その他婚姻を継続し

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    「現行離婚法について」
    1.離婚法の問題点
    婚姻の解消には、一方の死亡による解消と離婚による解消がある。さらに離婚には協議離婚と裁判離婚が存在する。そして、離婚は婚姻のような事実婚(内縁関係)と異なり、婚姻関係の事実上の解消ではなく届出と受理によって成立するため、当事者の意思をどこまで認めるのか(意思の範囲)が問題となるであろう。さらには、離婚に伴う当事者間の財産分与と経済的な保障、そして、子供がいる場合には子の監護権・養育費の問題が出てくるであろう。よって、整理すると以下の3つの問題点となる。
    離婚に対する当事者の意思
    財産分与と経済的保障
    子の監護権・養育費
    以下、協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚のそれぞれについて検討を行うこととする。
    2.協議離婚
    協議離婚の根拠は民法763条の「夫婦は、その協議で、離婚することができる。」による。よって、協議離婚は当事者間に婚姻解消の意思の合致があることが前提となる。そして、双方の意思の合致がある場合は②財産分与と経済的保障・③子の監護権・養育費についても意思の合致があると考えるのが当然である。しかし、実際は離婚給付や養育費の公平な配分・...

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