物上代位について

閲覧数2,733
ダウンロード数20
履歴確認

    • ページ数 : 13ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    1.先取特権における物上代位の意義
     先取特権は、法定された特殊の債権を有する者が、債務者の財産から優先的弁済を受けることを中心的効力とする権利である。先取特権は、法定の要件を満たせば、当然に生ずる法定担保物権である。ただし、先取特権者は、その払渡または引渡前に差押をなすことが必要である(民法304条)。これが先取特権の物上代位性である。先取特権、質権および抵当権は、目的物が滅失・毀損して保険金請求権や損害賠償請求権などに変じ、収用されて補償金請求権に変じ、売却されて代金請求権に変じ、または賃貸されて賃料請求権を生ずるような場合には、この保険金請求権、損害賠償請求権、補償金請求権、代金請求権または賃料請求権などの上に効力を及ぼす(304条)。これを担保物件の物上代位性という。これは、担保物権がその担保目的物に代わるものの上に効力を及ぼす趣旨である。先取特権、質権および抵当権は、目的物の交換価値を支配し、これをもって優先弁済にあてる権利である。そのため、目的物が何らかの理由で変形したときは、担保物権が変形物の上に効力を及ぼすとするのが担保物権の物上代位性である。
     したがって、一般先取特権については、物上代位性は問題とならない。一般先取特権は、債務者の総財産を目的としているから、債務者の取得した目的物の売買代金請求権等は当然に一般先取特権の範囲に含まれ、あえて物上代位によって効力が及ぶと考える必要はないからである。先取特権で物上代位が問題となるのは、特別先取特権(動産先取特権と不動産先取特権)だけである。
     例えば、抵当目的物が第三者の不法行為により滅失し、目的物の所有者が損害の填補を受ける場合には、この損害賠償請求権の上に抵当権の効力を及ぼさせるのが妥当である。

    タグ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

     「物上代位」    
    先取特権における物上代位の意義
    物上代位権の行使
    物上代位権の法的根拠
    問題の所在
    (1)なぜ「差押」を必要とするのか。
    (2)「払渡又は引渡」の意義
     
    判例の動向
    物上代位の目的物
    まとめ
    参考文献
    1.先取特権における物上代位の意義
     先取特権は、法定された特殊の債権を有する者が、債務者の財産から優先的弁済を受けることを中心的効力とする権利である。先取特権は、法定の要件を満たせば、当然に生ずる法定担保物権である。ただし、先取特権者は、その払渡または引渡前に差押をなすことが必要である(民法304条)。これが先取特権の物上代位性である。先取特権、質権および抵当権は、目的物が滅失・毀損して保険金請求権や損害賠償請求権などに変じ、収用されて補償金請求権に変じ、売却されて代金請求権に変じ、または賃貸されて賃料請求権を生ずるような場合には、この保険金請求権、損害賠償請求権、補償金請求権、代金請求権または賃料請求権などの上に効力を及ぼす(304条)。これを担保物件の物上代位性という。これは、担保物権がその担保目的物に代わるものの上に効力を及ぼす趣旨である。先取特権、質権...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。