政治学0901

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    資料の原本内容

    政治学              

    「マスコミが選挙に与える影響について」
    ここでの影響とは有権者の投票行動に焦点をあてたものである。そして、それは党や候補者のキャンペーンによっても多かれ少なかれ影響を受ける。年代、事例ともまちまちであるが、マスコミを通しての宣伝は広く社会に行き渡り、新聞、レコード、ラジオ、テレビなど、それぞれの時代での新しいメディアが政治キャンペーンに大きな影響を及ぼしている。
    ところで、マスコミの影響とは何か。昨今の調査によると、マス・メディアを利用しての直接的な宣伝、あるいはマスコミの報道や解説がストレートに有権者に影響を与えることは意外に少ないと報告されている。しかし、直接的であれ、間接的であれ、また影響を受ける人がたったの数パーセントであったとしても、選挙の結果はその数パーセントで大きく変わってしまうこともある。
    そのほかマスコミの影響として、確認効果、アナウンス効果、争点形成機能の三つを選挙との関連であげることができる。確認効果とは、Aを支持し、Bを支持しない場合に、マスコミに接することで、やはりAはよく、Bはだめということを確認し、Aはよいという認識をさらに強める効果をいう。この背景には、好きなものだけ見聞きするという選択的接触の問題もある。ついでアナウンス効果とは、選挙予測がなされた場合、当確といわれたときに運動に緩みが生じたり、彼はだいじょうぶだからと票が他に移動したりすることをさし、これとは逆に接戦と予測されたとき、あるいは落選と予測されたときは、また別の反応をおこす。これも無視できない問題である。第三の争点形成機能とは、各党・各候補者がそれぞれ重点政策を打ち出すものの、マスコミが今回の争点はこれだと打ち出すことで、その争点によって影響を受けることをさしている。このようにマスコミの機能も多角的であるが、なんらかの意味で影響を与えていることは事実で、それの影響力を無視していまや選挙を論ずることはできない。
    そして、現在はマスコミの影響による「衆愚政治」に陥っていると言われている。「衆愚政治」とは読んで字の如く、民衆が政治に対して思考停止に陥り、その結果愚かな政治が行われる事を言う。現在では有権者が政治に対して思考を停止し、マスコミの報道をのみを鵜呑みして投票行動に走っている。マスコミの報道をどう受けとめ、どの様な投票行動を取るかの責任は当然主権者である国民の一人一人にある。だが、その決定過程においてマスコミからの情報の影響力は非常に大きい。マスコミが「第三の権力」と言われるのはそのようなことが原因である。マスコミにはその点を自覚し、政治的公正な報道を行わなければならないし、それを受ける側の有権者は、正しい情報を取捨選択し、投票行動に生かせる「賢さ」を持たなければならない。
    ところで、選挙キャンペーンとは、ある意味では商品販売合戦である。選挙用ポスターは一種の商品広告であり、シンボル・マークは商標であり、スローガンは商品上のモットーである。ここでは、戦時中の心理作戦のために開発された宣伝技術、それに昨今のコマーシャルの最新技術がどんどん取り入れられ、党や候補者のイメージアップが図られる。人格、識見、態度、風采、肩書、職業、所属団体、出身校、出身地など、見せかけでもなんでもよいからともかく売り込む。また、さまざまな公約を振りまいて利益誘導を試み、それを実現するだけの力があることを宣伝する。かくして候補者はしだいに一個の商品と化してゆく。知名度を高めるために、候補者名が繰り返し宣伝される。そして可能なら、対立政党、対立候補のイメージダウンもぬかりなく図る
    またマス・メディアに関して言うと、マス・メディアの機能は、デモクラシーの維持・発展のためには望ましくないことがある。例えば、今日、私たちはマス・メディアから与えられる膨大な量の情報の中に置かれており、それらの情報量は個人の消費能力をはるかに超えている。しかも、マス・メディアの営利的性格は、センセーショナリズムや皮相的な報道主義を生んでいる。このため、マス・メディアの提供する内容はしばしば人々を現実の社会から逃避させ、重要な政治・社会問題への関心や、政治・社会活動へ参加する時間を奪い去ってしまうのである。

    今日のマス・デモクラシーとは、大衆の積極的な政治参加によって初めて健全に営まれるものである。しかしながら、人々を政治関心へと導くためのマス・メディアには麻酔的逆機能と呼ばれるようなデメリットも存在する。
    また、マスコミのメリットとして、選挙の結果予測を知ることができる。そして、マスコミの世論調査結果は大抵の有権者にとって絶対的であり、これを基にして戦略投票が行われる。戦略投票とは投票を意見表明のためではなく望ましい結果を得るために行うことであり、幾つかの選挙方法では予言の自己実現が成り立ち、世論調査をマスコミが操作したか否かに関らず、報道された結果が実現する。このように風聞・報道内容が結果を左右する現象はアナウンス効果と呼ばれる。

    そして、予言の自己実現効果がない報道内容なら、アナウンス効果は起きない。結果を報道内容に近づける効果を持たないため、報道内容を操作すると結果と異なってしまい、予測を得る手がかりとしての信用を失うからである。逆に予言の自己実現効果がある報道内容なら、報道内容を操作しても結果と同じになるため、予測を得る手がかりとしての信用を高める。
    これらのことから、マスコミは選挙において有権者にたくさんの影響を与えることがわかる。それにはメリットもデメリットもあり、時にはマスコミの報道の仕方によって選挙結果が左右されることもあるが、有権者にとっては重要な指標にもなる。
    ・参考文献

      『現代政治学』        堀江湛・岡沢憲芙 編

      『情報化社会とマスコミ』   堀江湛 著

      『政治とテレビ』        荒木功 著

      『現代政治』         大矢吉之 著

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